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生きて動いている三島由紀夫に会える!豊島圭介監督&刀根鉄太プロデューサー『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』【Director’s Interview Vol.57】

生きて動いている三島由紀夫に会える!豊島圭介監督&刀根鉄太プロデューサー『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』【Director’s Interview Vol.57】

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緊張感みなぎる元東大全共闘メンバーへのインタビュー



Q:登場された方の中では芥さんが一番インパクトがありました。僕は映画を見る前に討論を本で読みましたが、文字で読んでも芥さんのインパクトは強かったです。それで実際に映像を見たら芥さんは赤ちゃんを抱っこしながら三島と討論している!びっくりしました。


豊島:そうか、本には赤ちゃんの事は書いてないですからね。


Q:芥さんのインタビューでは三島に対して厳しい内容も多かったですが、実際はどんなインタビューでしたか?


豊島:インタビューはお一人だいたい1時間半か2時間で終わるんですね。でも芥さんは3時間はかかるかなと思っていました。それで20ぐらいの質問を用意して、インタビューに臨んだのですが、はぐらかされたり、壮大な哲学の話になったりとかしてなかなか進まない。で1時間半ぐらい経った時に、気づいたら質問を3つしかできていなかったんです(笑)。


それで、話を聞きながら次の質問を滞りなくしなきゃいけないじゃないですか。だから相槌打ちながら次のことを必死で考えてるんですけど、そういうのが芥さんにはバレる。芥さんから、「そうだよな?」って聞かれて、僕が「そうです」って答えたら、「何がだよ!」って怒られた。「何がだよ!」って聞かれて、答えられなかった。「え?」って言っちゃって(笑)。



左:芥正彦  右:三島由紀夫


Q:芥さんは表現者、パフォーマーだから、そういう所をよく見ているんですね。


豊島:その後に「『豊饒の海』は読んでるのか?」って聞かれて「読んでおりません」って言って。「そんな程度で人に取材するってのは、三島が可哀そうだ!」って怒られて。それがインタビューが始まって2時間ぐらいの時で。そこから10分ぐらい「読んどけばよかった…」って頭真っ白になりました。


Q:芥さんは三島作品をちゃんと読まれてるんですね。


豊島:すごく読んでるんですよ。だから50年前の討論の前もちゃんと熟読して臨んでいるけど、そういう素振りは一切見せない。そういう美学の人なんです。


刀根:あと監督に対して、芥さんからの逆質問とかもあるんですよ。「君はどう思う?」みたいに。


豊島:一番怖いじゃないですか。でも僕は芥さんに言わせたいセリフがあって、「この討論の意義は今振り返って何ですか?」「そうだなあ、やっぱり言葉が大事だってことかな」って言わせたかったんです。で「この討論の意義はなんですか?」って聞いたら、「お前はどう思うんだ?」って言われて、「えーっと、やはりですね、言葉が…」って僕が言ったら、芥さんから「そうだな」って言われて、肝心なコメントを僕が言ってしまうという。


Q:インタビューでよくあるパターンですね。インタビュアーがいろいろ言って、インタビュイーに「うん、その通りだ」って言われて終わるという(笑)


豊島:あれは落ち込みましたね。結局インタビューは4時間かかったんですが、最後の1時間で芥さんが急に良いワードをたくさんおっしゃってくれて、「助かった。刀根さん、これで何とかなりますよ」って帰り道で言ってました。


刀根:僕は「豊島なら何とかなると思ってた」って(笑)。



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