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【ミニシアター再訪】第24回 渋谷系の流行、ミニシアターの熱い夏・・・その1 渋谷のカリスマ、シネマライズのはじまり

【ミニシアター再訪】第24回 渋谷系の流行、ミニシアターの熱い夏・・・その1 渋谷のカリスマ、シネマライズのはじまり

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独立系ミニシアターとなる



 変化の時を迎えたのが92年で、大手の映画会社を離れて、2館から成る独立系映画館として本格的にスタートする(渋谷ピカデリーだった上の階は90年に閉館し、96年にミニシアターとして再スタートする。キャパシティは303席)。 


 この年、トッド・ヘインズ監督の異色作『ポイズン』(91、ユーロスペース配給)をかけた。後に同劇場で大ヒット作となる『ベルベット・ゴールドマイン』(98)を作ったヘインズ監督の記念すべき長編デビュー作である。 


 『ポイズン』の原作はジャン・ジュネ。実験的なテイストを盛り込んだ3話構成の映像作品で、(『カラヴァッジオ』同様)、ゲイのテイストが出た挑発的な作品としても通の間で話題を呼んだ。プロデューサーは90年代以降、ヘインズ作品をはじめ、『ボーイズ・ドント・クライ』(99、キンバリー・ピアース監督)、『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』(01、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督)等(いずれもシネマライズで上映)、多くの挑発的なインディペンデント映画の話題作を世に送り出すクリスティーン・ヴァションである。 



◉80年代後半から90年代初前半にかけて上映された映画のパンフレット。左から『神経衰弱ぎりぎりの女たち』、『コックと泥棒、その妻と愛人』、『モナリザ』、『グリフターズ』。


 自身の独創的な映画作りの秘密についてヴァションが98年に出版した著書『インディーズ映画が世界を変える』(デイヴィッド・エデルスタイン共著、日本版は04年、アーティストハウス刊)はシネマライズの賴香苗専務が翻訳を担当して世に送り出されたが、その中にこんな一節がある。 


 「ニューヨークのインディペンデント・シーンにはふたつのグループが存在していた。絵の具が乾くのを二時間見ているだけのような超がつくほどの実験映画を撮るか、あるいは名声への道への名刺代わりとなるようなミニ・ハリウッドな映画を撮るかのどちらかだ。両者の中間は存在しなかった。が、わたしたちは、革新的であると同時に、娯楽性もある映画を撮りたかった――たとえば、〔中略〕まったく新しい方向性を示唆していた『ブルー・ベルベット』のような作品だ」 


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