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【ミニシアター再訪】第25回 渋谷系の流行、ミニシアターの熱い夏・・・その2 『トレインスポッティング』とシネマライズの季節

【ミニシアター再訪】第25回 渋谷系の流行、ミニシアターの熱い夏・・・その2 『トレインスポッティング』とシネマライズの季節

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音楽と映像の幸福な融合 



 舞台はスコットランドの小さな町で、冒頭では警官に追われる主人公たちの姿が映し出される。 ジャンキーの彼らは定職にもつかず、毎日、ヤクにふけっている。普通に考えると、とても共感できない人物なのに、演出の軽快なテンポやリズムに乗せられ、世の中をナナメから見る彼らの世界観に引きこまれてしまう。 


 主演は『シャロウ・グレイブ』でボイルが才能を見抜いた(当時は)新人のユアン・マクレガーで、その鋭い眼差しとカリスマ的な存在感で一躍人気スターとなった。 


 サントラ盤もベストセラーとなり、ブラーパルプアンダーワールドプライマル・スクリームといった90年代UKロックの人気アーティストと60&70年代のニューヨーク・アンダーグラウンド感覚のイギ―・ポップやル―・リードなど新旧ミュージシャンのサウンドが楽しめる。 特にアンダーワールドの「ボーン・スリッピー」は屈折した主人公レントンの最後の決意を代弁するテーマ曲として使われ、鮮烈な印象を残した。 


 『トレインスポッティング』はシネマライズで96年11月30日に封切られ、33週間の大ロングランを記録。10代・20代の若い観客層を中心に14万人を超える動員となり、約2億3000万円の興行収入を上げた。 


 この時点ではシネマライズの興行のトップであり、渋谷のミニシアター界の快挙だった(銀座のミニシアターからは30週の『ベルリン・天使の詩』(87)、40週の『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)といった怪物的なヒットも出ている)。 


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