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大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。

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第6位:『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)  監督:ジャスティン・リン 105分


ヘンな日本描写もご愛嬌!ハイテンションで突き進む痛快青春物語


主人公のドミニクもブライアンもいなくなり、アメリカの悪ガキ高校生が東京に転校するという、もはや前二作との繋がりが絶たれた(かに見えた)三作目。とはいえ製作陣が日本のドリフトレースに興味を抱くのは必然で、東京を舞台にするアイデア自体は決して突飛ではない。本作からシリーズに参加した脚本のクリス・モーガンによると、最初は東京でドミニクが殺人事件に巻き込まれるプロットを書いたが、「それ(ヴィン・ディーゼルの出演)はムリだから、高校生の話にするように」と言われたという。


本シリーズの生みの親ともいえるブライアン役のポール・ウォーカーには、出演のオファーすらなかったという。新主人公は、ルーカス・ブラック演じるスピード強の高校生ショーン。街中でレースをやってクラッシュするなど素行の悪さで地元高校を追い出され、父親が暮らす東京の高校に編入。渋谷でストリートカーレースに明け暮れる男ハン(サン・カン)の舎弟になり、ドリフトの腕を磨くという筋書きになった。


いかにもハリウッド映画なヘンテコな日本描写が山盛りなのはご愛嬌。それよりも、日本の交通規制や撮影許可を取る難しさから多くのシーンをアメリカで撮っているとはいえ、逮捕上等で東京の路上でゲリラ撮影しまくったカーチェイスは見応えがある。テクニカルアドバイザーとして”ドリフトキング“の異名を取る元レーサーの土屋圭市が参加し、スタンドドライバーとしても超絶テクを披露しているのも見どころだ。


また撮影当時19歳だったメカニック役の北川景子、ワンシーンだけ登場する父親の愛人役の真木よう子、シリーズでは珍しくレースのスターターを男性が務めた妻夫木聡など、“若き日のあの人”の姿が観られるのも今となってはレア。特筆すべきは高校の先生役の柴田理恵。日本のお茶の間がよく知る柴田理恵のイメージそのままなのに、ハリウッド的なコメディリリーフとしてもみごとに成立していて、完成された芸風の強みを思い知らされる。


珍品扱いされることも多いが、本作に初参加し、後にシリーズ最多の登板となるジャスティン・リン監督の演出はエネルギッシュで躍動感がある。冒頭のクラスメートとのカーチェイスはショーンという主人公のやんちゃっぷりが画面から弾けていて、シリーズでも見劣りのしない名シーンに仕上がっている。いずれにせよ、本作は(日本以外では)興行的には振るわず、クオリティが低ければジャスティン・リンの再登板はなかったはずで、製作陣にも手応えがあったに違いない。


本作の魅力であり謎でもあったのがハンというキャラクター。なぜこの韓国系アジア人は東京でちゃらんぽらんに暮らし、美女をはべらせ、いい大人のくせに高校生を舎弟にして遊んでいるのか? 中盤のカークラッシュで死亡してしまうために謎は謎のまま葬られたかと思いきや、『EURO MISSION』を知ってから観直すと本作をまったく新しい視点で捉えることができる。ジゼルを亡くしたハンの孤独な心中を思えば、涙なくしては観られない感動作にも変貌するのだ。これも「ワイスピ」が起こした“後付けの奇跡”として語り継がれるべきであろう。





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