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正義のために立ち上がることは、人間として根源的な義務『コリーニ事件』マルコ・クロイツパイントナー監督【Director’s Interview Vol.59】

正義のために立ち上がることは、人間として根源的な義務『コリーニ事件』マルコ・クロイツパイントナー監督【Director’s Interview Vol.59】

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俳優たちとの幸福な関係



Q:主演のエリアス・ムバレクとの仕事はいかがでしたか?


マルコ:エリアスはかなり早くから、きっちり役作りをしてくれました。初めて顔合わせした時には、台本のすべてのページを既に読み込んでいたんです。我々が対話の練習をし、演技チェックをした時、エリアスは多くの準備も終えていました。裁判所に足を運び、たくさんの弁護士と会い、リサーチも重ねていたんです。刑事訴訟法まで暗記していました。弁護士がどう振る舞うかも心得ていましたし、何が合法で何が手続きに違反しているかといったことまで、既に把握していたんです。


エリアスは、非常に勤勉で集中力があり、意欲的でした。また、集中力がある一方で、現場では朗らかに撮影に臨んでくれました。彼と一緒に仕事ができて嬉しかったし、また是非一緒にやりたいと思っています。




Q:フランコ・ネロの出演はどうやって実現したのでしょうか?


マルコ:彼のエージェントに正式にオファーをして、個人的に手紙も書きました。親しくなるには自分から会いに行くのが一番です。フランコは幸いにも、とてもオープンな人でした。


初めて会って昼食を共にした時のことです。2人が座っていたテラス席で、プラスチック製の椅子が壊れたんです。いざ仕事の話をしようとした時、すごい音がして僕が座っていた椅子が割れ、僕は地面に尻もちをつきました。あんなに悲惨な顔合わせはありませんよ。フランコはすぐに立ち上がり、僕の心配をしてくれました。すぐ別の椅子を持ってきてもらい、僕は座り直したんです。そしてフランコも座ろうとしたとたん、今度は彼の椅子が壊れたんです。あれを上回るシチュエーションなんてありませんよ。2人とも大笑いし、一気に打ち解けました。


その後、彼の新しい映画を見たり、F1レースを見たりして会食を終えたんです。あれ以来、僕たちは本当にいい友人となりました。


Q:現場では、俳優たちの自由に任せるのでしょうか、それとも具体的に演出するのでしょうか?


マルコ:俳優たちには自由に解釈できる余地は残しておきますが、最初に構想は話すので、それが個々の基準となるんだと思います。また、ドイツ演劇特有のやたら叫ぶように台詞を言うのは大嫌いなんです。最近のコメディ映画でますます顕著になっているようですが。なぜカメラの前で叫ばなければならないのか?静かさの方が強い力をもつのは、得てしてあることだと思っています。その方が言葉に力を持たせることができるんです。



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