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  3. 危機感を共有するために必要なのは、新しい伝え方の発明『ワンダーウォール 劇場版』脚本:渡辺あや【Director’s Interview Vol.60】
危機感を共有するために必要なのは、新しい伝え方の発明『ワンダーウォール 劇場版』脚本:渡辺あや【Director’s Interview Vol.60】

危機感を共有するために必要なのは、新しい伝え方の発明『ワンダーウォール 劇場版』脚本:渡辺あや【Director’s Interview Vol.60】

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エンターテインメントが持つ意味



Q:今どきのポップな青春ドラマに盛り込まれた鋭いテーマ。社会問題をエンターテインメントとして表現することは、日本では少ない印象がありますが、『ワンダーウォール』は見事に成功しているように感じました。


渡辺: ドラマっていうのは大体夜に放送されていて、皆さん1日終わって疲れた状態で見てますよね。そんな状態の時にテレビで重たいことを放送されると、チャンネルを変えてしまうこともありませんか。私自身も、自分がくたびれて帰ってきて、テレビがなんか重たいことやっていたら、すぐにチャンネルを変えがちなんです。見る人がその状態であるということを想定すると、本当に伝えたいことがある時は、やっぱり多少楽しくしないとダメだろうなと思いますね。


このことは、以前『その街のこども』(10)という阪神淡路大震災を扱ったドラマを作った時も、強く感じました。


例えば『ワンダウォール』でいうと、実は一番最初に脚本に書いたのは、トランプ大統領がメキシコに壁を建てるっていう、モノローグからでした。でもそれだとやっぱり硬いなと、いきなりこんな上の方から話をされても、疲れていたらチャンネル変えちゃうなって思ったんですよね。それで、「その時、恋が始まった。」っていうセリフを最初に持ってきたんです。




あのモノローグがあって、そこに成海璃子さんの美しい顔が画面に入ってくる。そういうことがすごく大事だなと思っていますね。


あとはいかにキャラクターが魅力的であるかが重要ですね。重いテーマをやる時には、こちらから押し付けるのではなく、見ている人が自然に惹かれていって欲しいので、そのキャラクターがいかに魅力的であるか、あるいはその関係性がいかに面白くなっているか、その辺に力を入れていますね。


伝えたいことがあればあるほど、楽しませることを忘れちゃいけない。エンターテインメントであることは凄く大事だと思います。



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