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心惹かれる脚本は、感情に訴えかけてくる何かがあるかどうか『ワイルド・ローズ』トム・ハーパー監督【Director’s Interview Vol.62】

心惹かれる脚本は、感情に訴えかけてくる何かがあるかどうか『ワイルド・ローズ』トム・ハーパー監督【Director’s Interview Vol.62】

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グラスゴーとナッシュビル



Q:本作の世界観はどのように作り上げられたのでしょうか。


トム:まず何よりも、観客に現実的な話だと思ってもらいたかったんだ。でもそれと同時に、カントリーミュージックで夢を叶える、アメリカ的な物語とも感じてもらいたかった。また、グラスゴーの町の魅力も伝えたかった。グラスゴーには市営団地がたくさんあって、イギリスが持つ暗い雰囲気もあるんだけど、それは感じさせたくなかった。ローズは前向きなキャラクターだから、それに合ったトーンにしたかったんだ。


各シーンではローズの感情と映画のルックを紐づけた。彼女の物語は、調子のいい時もあれば辛い時もある。それを観客にも同じように感じてもらいたかった。だから、怒っている時や悲しんでいる時は手持ちカメラで少し暗い感じで撮っていて、逆に彼女が歌を歌っている時や魅力が溢れている時は、少し明るくしてレンズフレアや温かみを感じるようにしているんだ。デザインや照明、カメラワークは、ローズが経験する物語に呼応するようにしたんだよ。




Q:グラスゴーでの撮影はいかがでしたか?


トム:グラスゴーの魅力は、とても強い個性を持っているのに、すごく人々を受け入れてくれるところだと思う。そんな魅力をもった町で撮影するのはすごく楽しかったよ。この映画を他の街で撮ることは出来なかっただろうね。街も映画の役の一部のようだったし、ローズや脚本のニコールにとっても大切な場所になったと思う。実際、すごく良い時間を過ごすことが出来たよ。


Q:一方、ナッシュビルでの撮影はどうでしたか?


トム:ナッシュビルでの撮影は最後にしたんだ。それまでの撮影の内容は、ストーリーの流れからしても、全てナッシュビルに向けてやっていたことだったから、そこでの撮影はまさに最高潮の瞬間だったんだ。それまでローズに寄り添って撮影してきたこともあって、ナッシュビルでの撮影はまるで夢が叶ったような感覚だった。


実はビザのトラブルで撮影が遅れてしまったのもあって、ようやくたどり着いた(カントリーミュージックの聖域と言われる)ライマン公会堂で、音に包まれながらやった撮影は最高だったね。



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