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【CINEMORE ACADEMY Vol.5】編集編 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』の作り方

【CINEMORE ACADEMY Vol.5】編集編 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』の作り方

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モノローグと回想シーンは極力使わない



Q:(笑)。でも今回、こうして映画編集のお話をうかがってきて、藤井監督ならではの創造性がより理解できた気がします。YouTubeなどもそうですが、「1人で出来る」が進む時代で、あえて「客観性」を大切にする、つまり総合的な面白さを志向する、という思考法にシビれました。


藤井:「デジタルネイティブ」って言われている僕たちだからこそ、そこに甘んじない方がいいなってやっぱり思うんです。


僕が自主映画出身で、自分でカメラを回して編集して、脚本を書いて監督していたからこそ、昔ながらの分業制のよさを感じるんです。「餅は餅屋」じゃないですが、それだけに生きている人たちのプライドと技術、世界観っていうのは、そうそう真似できるものじゃない。


どんな作品でも、早めに“チーム”を構築して、みんなで立ち向かっていけるような体制を作りたい、というのが、最近の僕の考えです。もちろん、意見がぶつかってしんどいときはありますが(苦笑)、それも必要なディスカッションだと思うんですよね。


Q:藤井さんと古川さんはお2人でずっと組まれてきたから、もう意見がぶつかることはあんまりないですか?


藤井:いや、ありますあります(苦笑)。基本的に口が悪いんですよ! 「それは俺にとって気持ち悪い」とか、ダビングの途中で、僕がまだ悩んでる最中なのに「絶対それはない」とか断定してくる。


古川:(笑)。




Q:古川さん的には、藤井さんだからこそ、遠慮せずに言える、という感覚でしょうか。


古川:そうですね。意見を述べ辛い監督と組んだりすると、「藤井組、すごいやりやすかったんだ」って思います。


あと、監督は、こっちが言ったことをちゃんと考えてくれるし採り入れてくれるんですよね。考えてくれない人も中にはいるので、そこがまったく違うなと思います。


Q:なるほど。ちなみに編集のお仕事をされるうえで、こういうことを言われるときついな、やりづらいなといったものはありますか?


古川:全部命令してくるタイプの監督だと、自分がやる意味がないかな、とは感じてしまいますね。あとは、プロデューサーとかから物語と関係ないところで、「この俳優の寄りを入れて」とか「いつのことかわかんないからテロップ入れようよ」と言われちゃうと、「う〜ん…」とは思いますね。最近はほぼないですが。


Q:そうか、藤井さんの作品って、ほとんどテロップが入らないですもんね。個人的にすごく好きな特長です。


藤井:ありがとうございます。自分の映画を作る上で、モノローグと回想シーンは極力使わない、というのを約束事にしています。


演出であれば入れてもいいかと思うんですが、説明だったら入れるべきじゃないと思うんですよ。例えば「2週間後」というのを、言葉で説明するんじゃなくて、何か別のことで表現するべき。映画ならなおさらです。


なるべく説明は省いて、でも、分からない人がいないっていう方法を、模索するのが一番の目標ですかね。



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