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『窮鼠はチーズの夢を見る』原作:水城せとな×監督:行定勲クリエイター対談【Director's Interview Vol.76】

『窮鼠はチーズの夢を見る』原作:水城せとな×監督:行定勲クリエイター対談【Director's Interview Vol.76】

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主人公の靴に込めた人物像



Q:本作のビジュアル面についても、伺わせてください。水城先生は「頭の中で生き始める」とのことですが、こういう服を着ている、といった部分も浮かぶものなのでしょうか?


水城:それはありますね。漫画だと今ヶ瀬は黒しか着ないし、彼の性格に合ってるんだと思います。


失恋ショコラティエ」という作品だと、登場人物の紗絵子さんは旦那さんとケンカしたときに、頭にけがを負うんです。治るまで、彼女には必ず前開きの服を着せていました。頭からかぶるタイプの服だと、包帯に引っかかっちゃうからですね。そういったように、全部理由がありますね。


行定:映画版では、スタイリストの申谷弘美さんと話し合いましたね。今ヶ瀬に関しては、気持ちが乗るものじゃないとダメだよね、ということでどんどん体のラインを見せていく衣装になっていきました。成田凌が細いのもあるけど、か細いイメージですね。


恭一は反対に、厚みがありますよね。キャスティングの際にもここはかなり重要で、厚い人間と細い人間じゃないと、抱き合ったときに綺麗じゃない。見え方含めて、大事なポイントでした。




衣装に関して言うと恭一の方が難しくて、清潔感を持たせつつ、裕福な部分も見せたい。僕が衣装も含めたビジュアル面でよく考えるのは、どこに自意識を持たせるかということ。そこで、劇中でずっと白いスニーカーを履かせているんですよ。


これはスタイリストが出してくれた案で、恭一は映画の中で靴を汚さないんです。現場では、何足もまっさらのスニーカーを用意してもらっていました。


そういう部分には気を配れるのに、いろんな人に愛をばらまいちゃって回収できない。そこが面白いですよね。


舞台になるマンションも全部逆算で、今までは結婚相手に合わせていたけど、離婚したらどうするか。そこそこ金は持っているから、打ちっぱなしのデザイナーズマンションには入れるはず。でもきっと、必要なものだけしか置かないんだろうな…ということで作り上げていきました。



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