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『おらおらでひとりいぐも』沖田修一監督 「ほっこりした日常」とか見たくないんです(笑)【Director’s Interview Vol.90】

『おらおらでひとりいぐも』沖田修一監督 「ほっこりした日常」とか見たくないんです(笑)【Director’s Interview Vol.90】

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感動的な音楽をかけると恥ずかしくなってしまう



Q:桃子さんの自身との対峙や、夫との関係が作品の中心になっているかと思いますが、一方で子供達とのエピソードも、何気なく描かれつつも印象に残りました。


沖田:結局のところ、桃子さんがずっと寂しいって言っている作品だから、親子関係は無視できないと思うんです。原作では、息子は帰ってこないし、娘とは電話で話すだけで実際には会っていなくて、だったら娘ぐらいは家に来させていいかなと、エピソードを少し変更しました。また、周造との話は結構重要な印象があって、そこは映画でもうまく描ければと思っていましたね。




Q:本作も含めて、沖田映画の印象は日常のディテールが面白くて共感もするのですが、感情移入することは少ない印象がありました。でも映画にはのめり込んでしまうし抜群に面白い。その辺りは何か意識されているのでしょうか。


沖田:いつも意識していますね。簡単に言うと、感動的な音楽をかけると恥ずかしくなるっていう(笑)。感動させようとするのが、何かちょっと嫌なんですよね。こっちを見てくれ!みたいな、そういう強いところが苦手でして、そういう感動が起こるようなシーンほど、すごく引いて撮りたくなりますね。ですが、その照れを忘れることも大事だと思っていて、いつも自己葛藤しながらやっています。


Q:俳優さんとはそのあたり含めて、どのようにお話しされるのですか。


沖田:脚本を書いている段階だと、小さなことまで気付いていないから、実際に演じる俳優さんが察知してやってくれることが多いんです。自分の身体で動く俳優さんの方がよく気づくんですよね。撮影時に、ではこうしようって話が柔軟にできれば、それでいいような気がしています。あんまり難しいことを言い過ぎると変になっちゃうから、大事なときだけ指示するようにしていますね。



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