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『レディ・プレイヤー1』と未来のアイデンティティ 「Cinema未来館」SFは未来のシナリオか?【CINEMORE ACADEMY Vol.11】

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『レディ・プレイヤー1』と未来のアイデンティティ 「Cinema未来館」SFは未来のシナリオか?【CINEMORE ACADEMY Vol.11】

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バーチャルリアリティの定義とは



Q:ここからはもう一つのテーマ「仮想現実の技術が今この世界をどういう風に拡張していくのか」にフォーカスしていきます。会場のみなさんにもアンケートで「仮想現実の技術に対して期待すること、不安なこと」を伺えればと思います。


アンケートにお答えいただいている間、ゲストのお二人にお話をお聞きしたいのですが、そもそも「仮想現実」をどのように定義されていらっしゃいますか。


宮本:3次元の視覚VRというだけでなく、広く捉えた方が面白いと思っています。その感覚は、久保さんの『「盛り」の誕生』という著書を読んですごく面白いなと思ったところでもあります。先程も「渋谷がバーチャル空間」というお話をされていましたけど、現実世界でも「盛っている」という行為をバーチャル性と一緒に捉えられているというのがすごく面白かった。


久保:ありがとうございます。リアルで対面したことがない人にも知られていたり、その人たちとコミュニケーションをとれたりする状態を、私はバーチャルコミュニケーションと呼んでいます。それらは必ずしもデジタルのコミュニケーションに限らないのですが、それらが行われる空間も含めてバーチャル空間だと考えています。


例えば、1995年にプリクラが出てきて、プリクラを撮ると16枚同じ顔写真が出てくるのでそれを友達と分けるんですね。そして1枚をプリ帳に貼り、残りを他のお友達と交換するんですが、その友達もプリ帳に貼る。プリ帳をいつも持ち歩いているので、友達の友達の友達…にまで顔が知られるという状況が起きていました。そこが女の子たちのバーチャルコミュニケーションのスタート地点だと思っています。




宮本:VRゴーグルを被って見るものがVRという風に思われがちなのですが、VRの可能性はそれだけじゃない。本当はもっといろんな要素があって、例えば匂いの要素も忘れられることが多い。


今は『レディ・プレイヤー1』の中で描かれているような世界がVRだと思われているのですが、その定義だとちょっともったいないと思いますね。


久保:リアリティバーチャル、みたいなものもあるのかもしれないですね。現実にあるのだけれども、バーチャルな情報を含んでいるような。テーマパークのようなものもそうですが、渋谷も、そういう要素があると思います。


完全なバーチャルリアリティの世界がくる過渡期というか、そこにヒントがあるのかなと思いますね。


宮本:会場の皆さんが普段どれくらいゲームをやってらっしゃるのかわからないのですが、僕が思ったのはこのオアシスというゲームってあんまり面白くなさそうだな、って。


久保:えっ、どの辺りがですか?


宮本:過去の著作権をクリアして色んなものが使えているのは面白いのですが、カスタマイズ性が意外と低そうだったり、結局みんな80年代のゲームやコンテンツから要素をとってきていたりする世界なのかなって。


あと一番気になったのは、VRの「ならでは性」が凄く低いこと。VRじゃなきゃいけない要素が全然描かれていない。全部2Dでいいんじゃないかと思ってしまう。


特にイースターエッグ探しの中で、レース開始時に後ろに下がるという誰でも思いつくような仕掛けがあったのですが、それって二次元でも成立するようなもので、「VRならでは性」が低い。


「三次元構造のならでは性」とか「触覚のならでは性」で、イースターエッグを仕込むのなら分かるのですが、後ろに下がるとか、思い出の中に飛び込むとか、80年代のゲーム観をそのまま引継いでいて。。でもそこも含めての80年代感なのだとは思うのですが。


久保:そうですね、80年代にはすでにバーチャルリアリティという概念がありましたし、その頃の憧れが入っているというか。


宮本:確かに。80年代のバーチャルリアリティというか、その頃の夢という感じですね。



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