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世界で活躍する映画監督・深田晃司、監督作15作品を本人が一挙解説!

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世界で活躍する映画監督・深田晃司、監督作15作品を本人が一挙解説!

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海を駆ける』 2018年 / 106分 / 日本・インドネシア・フランス




(C)2018 “The Man from the Sea” FILM PARTNERS


監督・脚本・編集:深田晃司

出演:ディーン・フジオカ、太賀、阿部純子、鶴田真由


2011年に京都大学の山本博之先生からのお誘いで、インドネシアのアチェに同行することとなった。京都大学と現地のシアクアラ大学が共同で開催した津波と防災に関する国際シンポジウムをビデオで記録するためである。


アチェのことは、今回初めて訪れるまで私は何も知らなかった。2004年のスマトラ沖地震のときに発生した津波により、そこでは18万人もの人々が亡くなった。街の追悼施設には被災当時の市中のご遺体の生々しい写真がそのまま展示され、遺族がそれをじっと見つめている。出会う人はほぼすべて家族や友人や親族を津波で亡くしていた。しかしそういったつらい体験に向き合ってきた人々の言葉は驚くほど明るくポジティブだった。わずか一週間の滞在だったが、帰国するときには、2011年の津波の体験を経た日本人がアチェを訪れる映画を作りたい。という思いに取り憑かれるようになった。


当初は『ヒロシマ・モナムール』(59)のアチェ版のような映画をイメージしていたが、やがてマーク・トゥエインの「不思議な少年」のイメージを下敷きにした青春映画に変わっていた。それはまた『ほとりの朔子』の続編のようなイメージでもあった。


撮影は日本人インドネシア人の混成で行われたが、インドネシアのスタッフは明るく優しく優秀で、撮影は文字通り夢のように進んだ。撮影監督は『さようなら』に続き芦澤明子さん。インドネシアに家族をもつディーン・フジオカさんはじめ俳優陣は心からリラックスして臨んでいるように見え、なかでも仲野太賀さん、阿部純子さん、アディパディ・ドルケンさん、セカール・サリさんら、日本とインドネシアの若い俳優たちが、出会ったその日からあっという間に親密な友人へと変化していったその速度は感動的で、その感動は映画の内容をよりポジティブなものへと押し上げていった。


タイトルは悩みに悩んで準備稿からのこのタイトルに決まったが、映画が公開されてから数ヶ月後に『海の戯れ』というのが思いつき、ぴったしだと思ったけど遅過ぎた。


コロナ禍で延期を繰り返したものの、2021年にはフランスで劇場公開される。それに合わせて再編集を行い、新しいバージョンも完成した。とても気に入っているので、ぜひ日本でも近いうちに劇場公開したい。


もっと詳しく!:独自の価値観に裏打ちされた深田ワールドに迫る。深田晃司監督『海を駆ける』 ~前編~【Director’s Interview Vol.3.1】




『8月のアチェでアリさんと話す』TV初 2018年 / 9分 / 日本




(C)TOKYO GARAGE


監督・撮影:深田晃司

出演:エム・アリ・ウビッ/ナスリア/ファラ・アルフィナ/亀山恵理子(聴き手) 


鈴木卓爾監督から「ワンピース」で一本作って欲しいという依頼で制作。「ワンピース」とは鈴木監督が矢口史靖監督と長年継続している撮影スタイルで、以下のようなルールによって撮影が行われる。


【「ワンピース」の制作ルール】

[1] 固定カメラで撮る! [2] 撮影中はカメラに一切触れない! [3] 1話1シーン1カット完結! [4] アフレコや音楽ダビング、編集はしない!


依頼を受けたのが『海を駆ける』クランクイン直前だったため、インドネシアで撮影することになった。『海を駆ける』のドライバーをしてくれていた80歳の元気なおじいさんアリさんの、震災と津波を経てなお前向きな生き方に惹かれて、ただ彼の話を聞くことに徹した作品。




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