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『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

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映像作品の賞味期限は10年が限度



Q:原作との比較で「なるほど」と思ったのは、虎の意味合いについてです。原作ではジョゼにとって「一番怖いもの」ですが、本作だとそこに「障がい者に対する他者の、静的な圧」といったニュアンスが入り込んでくる。舞台を令和に置き換えた部分含め、現代性を強く意識しているように感じました。その辺りについては、いかがでしょうか。


タムラ:映像作品って意外と“賞味期限”が短い気がしていて、結構ヒットした作品でも10年くらいが限度かなと思っているんです。それ以前になると、「古い作品」として扱われてしまう。


例えば映画好きの先輩から「この作品は基本だよ」みたいに教えられて観ることはあるでしょうが、自発的に観ようと思う時期は限られているんじゃないか。だったら、いつまでも観られる作品というよりも、鮮烈に今の時代の人が共感してくれる作品を目指そうという感覚ですね。


そういった考えから、ファッションもちょうど今流行っていそうな服をチョイスしました。プラス、彼らが同じ服を着まわしているところを見せて、金銭感覚が間接的に伝わったら……というのはひそかな狙いです。華やかな画面を見せてはいるものの、落ち着いて観てみると、実際に持っているものが高価ではない、と見えたらいいなと思っていました。



©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project


Q:衣装に各々の経済状況まで反映させていたとは……とても面白いお話です。


タムラ:この映画は、細かい気持ちを表現するしかない作品だと思っています。爆発シーンがあるわけでもないですし(笑)。アクションシーンも比較的地味であることを考えると、繊細な気持ちの機微を表現するためには、一つひとつの表現をチューニングしていく、その積み重ねが重要なんですよね。




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