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『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

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現在のアニメ業界における「監督のなり方」とは?



Q:最後に、アニメーション監督について教えてください。素人考えだと、アニメーション業界はスタジオに入って経験を積んで、独り立ちしていく――というプロセスがしっかりと構築されているように思えるのですが、実際のところどうなのでしょう? 実写映画業界だと、いわゆる助監督経験を積むことなく商業デビューする方も増えてきているので、違いをぜひ知りたいなと……。


タムラ:アニメーション業界でもその辺の崩壊は起きてはいて、演出助手のような、師匠についてやっていく、というシステムではなくなっています。ただおっしゃる通り、テレビシリーズなどで各話演出を経験することで、ディレクターとしての仕事を学び、自然とスキルが身についていく部分はありますね。



©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project


Q:タムラ監督は、『おおかみこどもの雨と雪』に助監督として参加されていますよね。


タムラ:僕はたまたま細田さんの下に付きましたが、いきなり監督になる方もざらにいます。ただ、やはり初めての仕事に戸惑う方も多いと聞きますね。


例えば、TVアニメのシナリオ打ち(シナリオの打ち合わせ)って、各話演出は参加しないことがほとんどなんですよ。


Q:そうなんですね!


タムラ:監督になって初めてシナリオの打ち合わせをやるので、これまで参加したことがない人は、どういうディレクションをしたらいいかわからないんですよね。


あと、音楽もそうです。音楽発注は監督が行ったり、音響監督にお願いしたりもするのですが、演出家をやっている間は、音楽ってノータッチなんです。だから、監督になった瞬間に「どんな曲が必要ですか?」と言われて「え、どうしよう……」となる方が多い。


僕のところにも、監督になろうとしている後輩からは結構相談は来ますね。「監督って何したらいいですかね?」みたいな抽象的な感じで。


Q:なるほど……そういった状況とは知りませんでした。


タムラ:若い力が欲しいというプロデューサーの要望が強烈にあって、青田買いといいますか、「まだ経験値は低いのにもう監督にしちゃうの?」というのはあります。ただ、だからこそ生まれてくる才能もあるので、そういう意味では実写業界と同じく、崩壊は起きつつもチャンスがあるということでもあるかなと思います。


結局、各々のスタンスなんでしょうね。古い慣習に縛られたくないと思う人もいれば、実直に勉強したうえでやりたい人もいる。僕はどちらかといえば後者のタイプで、「自分の実力は今この辺かな、だったら次のステップはこの辺かな」という感じでやっています。



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監督:タムラコータロー

1980年生まれ、福岡県出身。『GOSICK -ゴシック-』『文豪ストレイドッグス』『宝石の国』等、TVアニメを中心にさまざまな作品の絵コンテ、演出を担当。細田守監督の劇場長篇アニメーション「おおかみこどもの雨と雪」(12)で助監督を、『ノラガミ』『ノラガミARAGOTO』で監督を務める。本作が劇場長篇デビュー作。



取材・文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema





『ジョゼと虎と魚たち』

12月25日(金)全国ロードショー


中川大志 清原果耶

宮本侑芽 興津和幸 Lynn 松寺千恵美 盛山晋太郎(見取り図) リリー(見取り図)


原作:田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫刊) 

監督:タムラコータロー

脚本:桑村さや香 

キャラクター原案・コミカライズ:絵本奈央 キャラクターデザイン・総作画監督:飯塚晴子

コンセプトデザイン:loundraw (FLAT STUDIO)  劇中画:松田奈那子 

プロダクションデザイン:平澤晃弘・片貝文洋・中村章子 

画面設計:川元利浩 美術監督:金子雄司 色彩設計:梅崎ひろこ 撮影監督:神林剛 3DCG監督:三宅拓馬 編集:坂本久美子 

音楽:Evan Call  音響監督:若林和弘 音響製作:ソニルード


アニメーション制作:ボンズ 

主題歌・挿入歌:Eve「蒼のワルツ」/「心海」(TOY’S FACTORY)


配給:松竹/KADOKAWA 製作:『ジョゼと虎と魚たち』製作委員会 

©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project

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