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緻密なアップデートを仕掛けた、舞台から映画への変換『あの日々の話』玉田真也監督【Director’s Interview Vol.26】

緻密なアップデートを仕掛けた、舞台から映画への変換『あの日々の話』玉田真也監督【Director’s Interview Vol.26】

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映画化のポイントは群像会話劇



Q:監督自身がもともと映画好きで、映画化されたっということですが、何か参考にされた作品などはありますか。


玉田:映画の冒頭にも出てきますが、三浦大輔さんの舞台『男の夢』は参考にはしました。他には、ロマン・ポランスキーの『おとなのけんか』(11)っていう4人芝居で80分間ぐらいの映画があるんですが、それも参考にしています。


Q:ジョディ・フォスターやケイト・ウィンスレットが出演してますよね。


玉田:そうです。他にクリストフ・ヴァルツやジョン・C・ライリーとか、アカデミー賞俳優ばかり出てるんです。それも舞台が原作なんですよ。


Q:そうなんですね。


玉田:出演はほぼ4人だけで、舞台もリビングやキッチンなど、ほぼ部屋の中だけで、80分間繰り広げられるんです。その映画を見ながら、こういうことだよなって、まさに参考にしましたね。カメラマンにも勧めたんですけど、彼は頑なに見なかったですけど(笑)。作り終わった後に見て、ああそうか、こういうことかって言ってましたね。


 あと、川島雄三の『しとやかな獣』(62)も参考にしました。それも団地の一室だけを舞台にした群像劇で、まるで舞台みたいな作りなんです。一部屋だけで会話しているんだけど、ものすごくいろんなアングルからカメラが撮ってる群像会話劇なんですよ。これも撮り方とかは参考にしてますね。


Q:結構研究されてますね。


玉田:そうですね。舞台原作ものの映画って結構好きなんです。他にもリチャード・リンクレイターの『テープ』(01)とか。それもモーテルの一室だけで話が展開するんです。


Q:あの映画の原作って、舞台なんですね。


玉田:そうなんです。あれ舞台原作なんですよ。こういうことが1回やってみたいんだよなとか思いながら、面白いなーって見てました。そう考えると、密室会話劇がやりたくて、今回の『あの日々の話』を映画化に選んだのかもしれないですね。


Q:なるほど。監督は普段は舞台がベースだと思いますが、今後も映画は作っていかれるのでしょうか。


玉田:そうですね、コンスタントに作れればなと思っています。


Q:次回以降はどんな映画を作っていきたいですか。


玉田:また自分の舞台原作を映画化したいですね。他にも、演劇の世界では有名なんだけど一般的にはそんなに知られていない、めちゃくちゃ面白い戯曲とかがあったりするんですよ。これ絶対映画にしたら面白いよ!っていうのが何本かあったりとかして、多分映画化する人は他にいないだろうし、だったら自分が映画化してみたいなっていうものは何本もあったりします。あとは、普通に映画オリジナルの企画もやってみたいですね。


Q:では最後に、このインタビューを読んでくださっている皆さんにメッセージを。 


玉田:かなり肩の力を抜いて楽しめる作品だと思っています。でも、楽しいんですけどちょっと痛いというか、自分の周りに、ああ、こういう人いるなとか、あるいは俺こういう瞬間あるなっていうのを、結構濃度濃く描いているので、多分えぐられる部分があると思います。人によってはすごく嫌な気持ちになる瞬間がありながらも、でもちょっと笑えるっていう。そういう意味では、いろんな人に楽しんでもらえると思っています。ぜひ映画館で見てほしいです。



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原作・監督・脚本:玉田真也

1986年生まれ、石川県出身。大学在学中に演劇を始める。大学卒業後、2011年に青年団演出部入団。2012年、劇団「玉田企画」を旗揚げし、以降すべての作品で脚本・演出を担当。日常の中にある「変な空気」を精緻でリアルな口語体で再現する。観る者の、痛々しい思い出として封印している感覚をほじくり出し、その「痛さ」を俯瞰して笑いに変える作風が特徴。

これまで担当した作品は、映画「シェアハウス」(脚本/監督:内田英治、2016年)、NHK「ちょいドラ/ロボカトー中島と花沢さん」(脚本/2017年)、現在放送中のTフジテレビ「JOKER x FACE」(脚本/2019年)など。

本作で長編映画監督デビュー。自身の劇団「玉田企画」で好評を博した同名の舞台を原作に、自らの手で完全映画化した。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




『あの日々の話』

2019年4月27日(土)からユーロスペースほか全国順次公開

公式サイト: https://anohibi.com/

(c)2018『あの日々の話』製作委員会

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