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嵐電という電車はすごく映画館に似ているんです。『嵐電』鈴木卓爾監督【Director’s Interview Vol.28】

嵐電という電車はすごく映画館に似ているんです。『嵐電』鈴木卓爾監督【Director’s Interview Vol.28】

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路線図から落とし込んだ脚本



Q:企画から脚本へはどういうふうに落とし込んだのでしょう。


鈴木:「北白川派映画」というのは、これは学生とプロが一緒になって劇場用映画をつくる映画運動なんです。今回の映画はその北白川派映画のメンバーと一緒になって作ってまして、俳優コース在籍の学生も多数出演しているんです。実はこれ、企画・脚本段階で彼らが演じる役の配置をかなり意識していまして、それによって映画の内容が群像劇の設定になっていったこともありますね。


 また、群像劇となると、その人たちが物語の中で具体的にどう交差していくか、全体を見る視点みたいなものが、必要になってくるんです。だから脚本段階では、嵐電の路線図を見ながらどうやって映画に落とし込んでいこうかって所からスタートしました。




 僕が映画を撮る時は、大体「町」の映画になっていくことが多いのですが、結局今回も、嵐電撮るっていうことは、やっぱり嵐電の町の映画だよなって自然となっていきましたね。


Q:路線図を中心に考えていくと、ロケハンも重要になってきますね。


鈴木:そうですね。ロケハンの最中に発見もありました。太秦広隆寺駅のホームに面した、いつもシャッターが閉まっているお店が気になっていたんですが、実はこの映画に関わっている学生の高校時代の同級生のお父様がお店をやってた場所だったんです。ロケハンしている途中にそれが判明して、「何でそれを先に言わないんだ!」って(笑)。


 そこは、昔はお店をやられていたのですが、今は倉庫になってシャッターが閉まっていたんです。それで中を見せてもらうように頼んで入ってみたら、ガラス越しに嵐電が入ってくる景色が目に入ってきたんです。その瞬間、この映画は大丈夫かもしれないって感触がありました。それで、脚本を書き換えてこのお店を登場人物達の拠点として、カウンターを作って喫茶店にしようって話がどんどん進みました。




 他にもキーになる帷子ノ辻という駅があるのですが、今回音楽をやってくださっている、あがた森魚さんの音楽に、「カタビラ辻に異星人を待つ」っていう謎の曲があって(笑)、学生時代に聞いていたので、帷子ノ辻って名前は知ってたんですけど、この駅がそうかって、改めて発見した感じでしたね。そこからひも解いて、この不思議な地名に昔からある説話と、いろんな妄想をくっつけて脚本に落とし込んでいきました。



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