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会社員をやりながら映画を撮ったのが、すごくバランスが良かったんです『月極オトコトモダチ』穐山茉由監督【Director’s Interview Vol.30】

会社員をやりながら映画を撮ったのが、すごくバランスが良かったんです『月極オトコトモダチ』穐山茉由監督【Director’s Interview Vol.30】

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バランスが良かったカメラマンとの関係



Q:企画が決まった時点で、既にスタッフも決まっていたんですね。


穐山:そうですね。今回のスタッフは映画美学校の知り合いがほとんどでした。みんなでアイデアを出しながら、一緒に作っていくことをやってきた人たちなので、そのカルチャーのまま今回も撮影したんです。なので、カメラマンもそうですし、演出部も含めて、脚本段階でスタッフに意見を求めていましたね。


 スタッフは先輩が多かったのですが、歳は私の方が上なんです。その変なデコボコの関係の中でみんなが意見を出し合いながら、美学校チームでワイワイやってました。


Q:中瀬さんは、先日公開された玉田真也監督の『あの日々の話』も撮影を担当されていますよね。


穐山:そうなんです。中瀬さんは本当に面白い人なんですよ。変わった人ですけど(笑)。


Q:玉田監督にインタビューさせて頂いたのですが、『あの日々の話』はフォーカス送りがすごいですねって、その時も中瀬さんの話になりました。今回の撮影ではどうでしたか。


穐山:中瀬さんのカメラワークに助けられましたね。助けられたというか、なんか相性が良かったんです。私は人物に対しては、注意深く引いた目線で見がちなのですが、反対に中瀬さんはどんどん人物に寄り添っていくんです。そのバランスが結構良くて、ちょうどいいポイントに落ち着いたと思っています。




 例えば、那沙と珠希が喧嘩するシーンでは、私の想定では、那沙の顔を見せたくなかったんです。顔を見せないで撮りたいなと思っていたのですが、中瀬さんは絶対見せた方が良いって言う。そこで落ち着いたのが、那沙の顔は見えているけれど、フォーカスせずにボケさせて、奥の珠希にフォーカスする。というショットでした。実際にカメラを置いてもらったら、こっちの方が良いなとなって、その辺のバランスがすごくよかったですね。


Q:中間地点に落ち着くと良いですが、意見が対立してお互い引かない時などはありましたか?


穐山:あー、ありましたね(笑)。ありましたけど、私はそもそもお願いする時点で、覚悟してました(笑)。でも、撮る絵は確かだし自分よりもいいプランをもっている人だなっていう信頼があったんです。だからカット割りなどカメラのことに関しては、中瀬さんの意見はちゃんと聞こうって思っていました。そんな関係もあったので、中瀬さんがそんなに言うのであれば、一度考えてみようって、プランを練り直したりしていましたね。


Q:撮影現場でみんなと一緒になって「ものづくり」に励んでいた監督ですが、映画に出てくる主人公たちも同じく、それぞれ「ものづくり」に励んでいます。自分自身を投影されたようなところはあったのでしょうか。


穐山:そうですね、映画の後半で、那沙が本当にやりたかったことを実現していくとろなどは、割と素直に自分の思いを投影した感じです。あとまあ、彼女は一回結婚しようと思って失敗している設定にしたんですけど、それはまさに自分のことで(笑)。


Q:そうなんですね。これ、書いても大丈夫でしょうか!?


穐山:全然大丈夫です(笑)。主人公が、結婚っていつかするものだと漠然と思っていたところから、結婚の失敗を経て、人との関係に向き合っていったり、自分の夢に向き合っていくという話にしているのですが、その辺はまさに自分の体験が元になっていますね。






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