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特殊訓練を受けた人がいても『ダイ・ハード』のようなことは実際には起きない。アンソニー・マラス監督『ホテル・ムンバイ』【Director’s Interview Vol.41】

特殊訓練を受けた人がいても『ダイ・ハード』のようなことは実際には起きない。アンソニー・マラス監督『ホテル・ムンバイ』【Director’s Interview Vol.41】

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宗教や人種に対する根深い偏見



Q:避難している人々の中にも、宗教や人種に対する根深い偏見や壁が垣間見られました。これはテロリストだけでなく、私たち一人一人の中にある問題への提起なのではないでしょうか。


アンソニー:ありがとうございます。まさにそれが私の伝えたかった大事なことでもあります。偶然事件に巻き込まれたことによって、一緒に行動することになった人々は、お互いのことは全くわからない。そういった人たちが極限状況の中、一緒に過ごすというのは簡単なことではないんです。例えば、ペルシャ語で話している人を見ただけで、テロリストと話してるんじゃないかと、邪推してしまう人がいる。また、シーク教徒のターバンを見て、イスラム教徒と混同する人がいる。このような行動が出てきてしまう点は、私が伝えたかった大事なところです。




また、事件の起きたパレスホテルは、どんな文化、宗教、人種の人でも入れるところを作りたいと、迫害を受けて来たイラン系インド人のオーナーが作ったホテルなんです。ですから、ホテル自体が非常にオープンであることのシンボルなのです


Q:映画は当時の状況をそのまま切り取ったかのようにリアルでした。芝居をするというよりも状況の再現に近かったと思いますが、役者の皆さんへはどう演出されたのでしょうか。


アンソニー:役者の皆さんには、自分が演じるキャラクターを作るにあたり、事件の際どういう環境におかれて、何を経験をしたかということを大事にしてもらっています。また、撮影の現場では、事件の状況を再現することを優先し、それを色んなアングルから多数のカメラで収録しました。通常の映画のようにきっちりとカットを割ることはせずに、その場で起きたことを収めるスタンスで撮影に臨みました。



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