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【ミニシアター再訪】第4回 六本木からのNew Wave・・・その1 シネ・ヴィヴァン・六本木 前編

【ミニシアター再訪】第4回 六本木からのNew Wave・・・その1 シネ・ヴィヴァン・六本木 前編

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 映画の興行は大手の映画会社や興行会社が動かしていたが、80年代以降、そんな動きが変わった。別の世界にいた異業種が配給や劇場作りに乗り出したのだ。


 特に目立っていたのが西武グループの動き。配給会社、シネセゾンを作り、さらに六本木、渋谷、銀座など都内にいくつかのミニシアターを作った。とりわけ大きなインパクトを残したのが、シネ・ヴィヴァン・六本木である。


 WAVEというカルチャー・ビルの地下にこの劇場を作り、ゴダールやタルコフスキーなど、一般には難解と考えられていたヨーロッパ系アート監督の映画を次々にかけ、ハイブロウなシネアストに支持されるミニシアターとなった。


 バブル経済へと向かう日本では、贅沢で、知的なカルチャーがもてはやされていたが、WAVEという建物そのものが、そんな“知の時代”を象徴していた。


※以下記事は、2013年~2014年の間、芸術新聞社運営のWEBサイトにて連載されていた記事です。今回、大森さわこ様と株式会社芸術新聞社様の許可をいただき転載させていただいております。


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伝説のビル、WAVEの跡地をさがす



 かつて東京・六本木にあったビル、WAVEのことをどれくらいの人が覚えているのだろう。オープンは1983年11月18日。99年まで16年間、営業していた。住所は六本木6丁目2-27。


 閉館から14年後の2013年3月。かつての場所を確認したくて、デジカメ片手に付近を歩いてみたが、様子が変わっていて、跡地を特定できない。資料に「麻布警察署の近く」と書いたあったことを思い出し、今も変わらず立っている交番に入って住所を調べてもらう。


 「27という住所は今の地図にはないですね。2番地のあたりは六本木ヒルズに吸収されてしまったようです」


 消えた20世紀の遺跡探しは容易ではない。やがて六本木ヒルズのビルのひとつに「6-2-31」とプレートが打たれていることに気づく。至近距離にいるのは間違いないので、周辺をうろつきながら、ファインダーをのぞく。


 撮影していると、ひと目で観光客と分かる団体や老夫婦、ベビーカーをかかえた母親の姿も飛び込んできて、時代の流れを実感する。WAVEの周辺にいた最先端のカルチャー好きの若者たちとは違う層だ。


 WAVEの跡地には、現在の六本木のシンボルとなった巨大ビル群、六本木ヒルズがそびえ立ち、今では新しい観光地になっている。



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