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【ミニシアター再訪】第18回 映画の街・銀座からの巻き返し・・・その7 シャンテ傑作選2 アメリカ・気鋭監督の出世作

【ミニシアター再訪】第18回 映画の街・銀座からの巻き返し・・・その7 シャンテ傑作選2 アメリカ・気鋭監督の出世作

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かつては若い客層



 『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『セックスと嘘とビデオテープ』の頃の客層について訊ねると、高橋専務からはこんな答えが返ってきた。 


 「ミニシアターは女性客が多いというイメージがあり、確かに女性も多いんですが、男性たちも来てくれました。若い方が多かったです。20代から30代前半くらいでしょうか。ただ、今はほとんどの観客層がシニアになってしまった。あれから20年たって、30代の人が50代、40代が60代ということでしょうか。若い人がこういうものに関心を持っていないとしたら、それは残念ですね。おそらく、お金の問題ではないと思うんですが……」 


 今の若い観客に関して高橋専務はこんな驚くようなエピソードも披露した。 


 「実は、最近、ある学生の研究発表があって、若い人がもっと映画を見るためにどうすればいいのか、その研究結果が出ていたのです。その中でおしゃべりしながら映画を見られるようにしてほしいという意見がけっこう多くてびっくりしました。そういう回をもうけてほしいという提案です。まあ、テレビを見るような感覚で映画を見たいのでしょう。きっと、今の若い人にとって映画はその場限りの消費財なんでしょう。映画を見て、メンタルの部分でいろんなことを感じてみたいとか、楽しみたいとか、今の人はないのかもしれませんね」 


 現在と過去の観客の気質の違いについて考えさせられる話だ。高橋専務はさらに付け加える。 


 「同じ映像でもネットのユーチューブは、1本が、2分か3分くらいです。ところが、映画となると、2時間から2時間半の長さなので、1本の映画を見ることに対して生理的に耐えられないのでしょう」  


 近年の観客層の変化にも話が及びながら、シャンテの代表作の話が続いていく。 


(次回は、『日の名残り』や『フル・モンティ』など英国映画のヒット作が登場)




◉シャンテは日比谷の人気ビルのひとつだった。(2014年撮影)



前回:【ミニシアター再訪】第17回 映画の街・銀座からの巻き返し・・・その6 シャンテ傑作選・1  フランス映画社作品

次回:【ミニシアター再訪】第19回 映画の街・銀座からの巻き返し・・・その8

 

 

文:大森さわこ

映画ジャーナリスト。著書に「ロスト・シネマ」(河出書房新社)他、訳書にウディ・アレンの評伝本「ウディ」(D・エヴァニアー著、キネマ旬報社)他。雑誌は「ミュージック・マガジン」、「キネマ旬報」等に寄稿。ウエブ連載をもとにした取材本、「ミニシアター再訪」も刊行予定。



※本記事は、2013年~2014年の間、芸術新聞社運営のWEBサイトにて連載されていた記事です。今回、大森さわこ様と株式会社芸術新聞社様の許可をいただき転載させていただいております。なお、「ミニシアター再訪」は大幅加筆し、新取材も加え、21年にアルテス・パブリッシングより単行本化が予定されています。

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