向かって左から:スティーブ・コックス監督、マシュー・ウォーカー監督、廣木綾子監督
『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』公開記念 スティーブ・コックス監督&マシュー・ウォーカー監督 × 廣木綾子監督 特別鼎談【Director’s Interview Vol.597】
密な共同作業から生まれる一本の映画
Q:スティーブ・コックス監督とマシュー・ウォーカー監督は、これまでにも『チキンラン:ナゲット大作戦』(23)や『ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~』(21)といったアードマン・アニメーションズの作品でタッグを組んでこられましたね。今回の最新作で共同監督を務めるにあたり、お二人はどのように役割を分担されているのでしょうか。
ウォーカー:実はアードマンの映画のほとんどは、監督2人体制で制作しています。単純に、物理的な仕事量が非常に多いからです。特に今作は1人ですべてを監督するのは不可能でした。2026年のハロウィンに合わせて公開するという期限が決まっていたため、非常にスピーディーに制作を進める必要があったのです。今作はアードマンが手がけた映画の中でも、最も速いペースで制作された作品のひとつになりました。
役割分担についてですが、特に制作の初期段階では、非常に密に連携しながら作業を進めました。脚本の段階では、脚本家のマーク・バートン、ジャイルズ・ピルブロウと僕たちの計4人で、長い時間をかけて物語のアイデアを出し合い、ストーリーを発展させていきました。プリプロダクションに入り、デザインなどの作業を進めている間も、僕とスティーブはずっと一緒に仕事をしていました。同じオフィスを使っていたので、いつでもアイデアを共有できたのです。

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』 © 2026 / AARDMAN ANIMATIONS Ltd - All Rights Reserved
役割を分担し始めたのは、実際の制作に入ってからです。まず映画をいくつかの「シークエンス(場面のまとまり)」に分け、それぞれに同じくらいの数を割り振り、担当するシークエンスの全工程を監督しました。担当するシークエンスについて、アニメーターやエディター、美術チーム、パペット(人形)チームなどと連携しながら作業を進めていくのです。その間もお互いに進捗を共有し、相手が何をしているのかを把握しながら、映画全体の整合性が保たれるように努めました。そして、音楽と最終編集の段階で再び合流します。これが僕たちの仕事の進め方です。
一番難しかったのは、どのシークエンスを誰が担当するかを決めることでした。というのも、僕たちはすべてを一緒に手がけたかったからです。難しい決断でしたが、結果的に2人とも非常に面白いシークエンスをいくつか担当することができたので、満足しています。
コックス:私たちは2人ともアニメーション業界の出身ですが、専門分野は少し異なります。経歴や強みという点では、私はキャリアの初期からアニメーターとして活動してきたので、スタジオの現場やパペットの扱い、制作のプロセスを熟知しています。一方、マット(マシュー・ウォーカー監督)もアニメーターとしての経験がありますが、ストーリー作りをバックグラウンドに持ち、優れたストーリーボード・アーティストでもあります。異なる経歴を持つ2人が、それぞれの強みを生かしながら、映画全体を作り上げていったのです。