瀬々監督の熱量
Q:映画の内容はなかなかハードですが、脚本を読んだ感じはどうでしたか?
木竜:当時、女性たちが抑圧されている状況にありながらも、花菊や女力士たちのように、熱い気持ちで懸命に生きている人々がいたことは、脚本を読んですごく伝わってきました。アナーキストに関しても読むまではほとんど知らなかったのですが、彼らの生きざまについても同じ印象を持ちましたね。その辺りにとても惹かれていたと思います。
Q:この映画に出たいと思った理由がそこにあったんですね。
木竜:そうですね。
Q:映画本編やメイキングの様子から、監督やスタッフ、役者の皆さんの「熱量」を強く感じました。現場の雰囲気はどうでしたか?
木竜:現場で一番熱量があったのが瀬々監督でしたね。常にずっと、一番熱い気持ちで現場にいらっしゃっていたと思います。監督が先頭を切っているところに、みんなががっちり付いていくという雰囲気がありました。京都の撮影所の方々をはじめ、スタッフ・キャストのみんなが、瀬々監督の撮るこの作品が見たい!という気持ちがとても強かったんです。そのための覚悟みたいなものは、現場にずっと漂っていたと思います。私自身は本当にいっぱいいっぱいだったのですが。。
Q:メイキングを見ると、瀬々監督が役者の皆さんにしっかり、そして丁寧に演出意図を伝えている様子が印象的でした。
木竜:最初は役者の自由にやらせてくれるんです。その後、瀬々監督の希望があった場合はそれを伝えてくれます。それも、演技の技術的なことではなく、その時の人物(花菊)の気持ちを伝えてくれるんです。
撮影中、瀬々監督がモニターを見ながら泣いていることがあったんです。それはたぶん、モニターに映っている人の気持ちに監督が一番寄り添ってるからだと思うんですね。瀬々監督って、映っている人が抱えている思いや感じていることを、すごく大事にされる方なんです。そういうところはとても熱いですし、すごく愛がありますよね。
監督は笑顔でいろいろ話される方ではないので、撮影当時の私はとにかく余裕がなくて、瀬々監督が怖かったときも正直ありました。でも、熱い気持ちを受け止めてくれる愛情みたいなものはすごく強く感じました。『菊とギロチン』に出た人がみんな、瀬々監督のことを好きになったのは、そういうところがあるからだと思います。