第一希望のキャスティング
Q:キャスティングについてお聞かせください。徳永えりさん、橋本淳さん、芦那すみれさんと、3人が絶妙にハマっていましたが、それぞれどういうきっかけで出演されたのですか。
穐山:徳永さんって撮影当時は29歳で、まさに那沙の設定年齢と同い年だったんです。しかも、彼女のプロフィールの特技欄にサッカーって書いてあって、男の子と一緒に活発に遊んでいたイメージがあったんです。そこから徳永さんの那沙が私の中ですごく動き出していきました。徳永さんは実力もキャリアもある人だったので、出てもらえるか心配だったのですが、ダメ元でお願いしたら、自主映画にもすごく理解を持ってくださって、出演して頂けることになったんです。
芦那さんは『ジムノペディに乱れる』(16)に出ていたのを観て、すごく気になっていました。音楽が必要な「MOOSIC LAB」ということもあり、それでお声がけさせていただきました。
Q:二人とも監督の第一希望だったんですね。
穐山:はい、そうですね。柳瀬役の橋本さんも第一希望でしたね。山内ケンジ監督の『At the terrace テラスにて』(16)に出ていて気になっていたのですが、飄々とした印象があって、それが良かったんです。会ってみると、実際の橋本さんも、その場のやりとりがすごく上手でスマートなんですが、何を考えているのか分からないっていう(笑)。男女分け隔てなくフラットな感じの印象もあって、私がイメージした柳瀬役にピッタリだったんです。
ただ、皆さんのスケジュールが合うかどうか心配していたのですが、一週間だけスケジュールが合う期間があって、そこに目掛けて撮影しました。
Q:一週間で撮りきったのですか。
穐山:全部で9日間ですね。第一希望の皆さんに出てもらって、スケジュールも含め色々と幸運に恵まれました。
Q:第一希望の役者さんの出演が決まって、プレッシャーみたいなものはありましたか。
穐山:最初はありましたね。長編は初めてでしたし、「MOOSIC LAB」の作品として決まっていましたが、監督の穐山茉由って誰?って状態でしたしね。私としてもチャレンジャーの気持ちで挑みました。でも皆さん、ものづくりが好きだし映画の現場もすごく好きな方々なんですよ。それにすごく救われましたね。
徳永さんなんか、撮影用のマイクブーム(マイクをつける棒)を持って「これ持ってみたかったんです!」とか言ったりして、技術部の細かい仕事ぶりに色々興味を持ってくださったんです。
特に今回は予算も少なく手作りの現場だったので、それぞれが工夫しながら撮影していたんです。キャストの皆さんも、そこにのっかって楽しんでくれたみたいです。私も撮影が始まると、プレッシャーも徐々に無くなって楽しんでやってました。