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『ミッドナイトスワン』内田英治監督 自分を救ってくれた映画に恩返ししたい【Director's Interview Vol.79】

『ミッドナイトスワン』内田英治監督 自分を救ってくれた映画に恩返ししたい【Director's Interview Vol.79】

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多くの人に観てもらうために



Q:『ミッドナイトスワン』は話の流れも面白く、脚本が相当考え抜かれている印象を受けました。脚本は以前から温められていたのでしょうか。


内田:脚本は5年ぐらい前に書いたのですが、草彅さんが出演することになってからは、いろんな人に脚本を読んでもらって、意見を聞きながら改稿していきました。


今回はこれまでインディーズでやってきたような、一部の人たちだけに支持してもらえれば良いというのではなく、草彅さんを好きな人たち含めて、より多くの人に観てもらおうとしましたね。


多くの人に受け入れてもらうには、どうすればいいだろうって、悩んだシーンもいっぱいあります。これまでは「多くの人なんか関係ねえよ!」って思って映画を撮っていたので(笑)、そのジレンマはすごくありましたね。




Q:『獣道』(17)などもそうですが、内田監督の作品は「自分の居場所を求める人たち」というのが、テーマとして中心に据えられている気がします。その辺りは何か意識されていますか。


内田:その話はたまに指摘されるのですが、何でしょうね。僕は、ブラジルで生まれ育って11歳で日本に来たのですが、その時から20歳になるくらいまで結構長い間疎外感があったんです。自分の身の置き場所みたいなものが、日本で見つけられなかった。帰国後は日本語もあまり上手じゃなくて、いじめられていました。もう本当に、日本が嫌で嫌でしょうがなかったですね。


それが関係しているのかどうか、自分では意識していないのではっきりとは分かりませんが、もしかしたらそのテーマは、そこから来てるのかもしれませんね。


Q:これも内田監督の特徴かと思うのですが、出てくるキャラクターが皆すごく濃くて魅力的です。ステレオタイプをさらに増幅したような分かりやすいキャラクターもいますが、そのことがより作品の寓話性を高めている気がします。


内田:どちらかと言うと、感情のニュアンスが分からないものよりは、分かりやすいものの方が好きですね。キャラクターが行き過ぎていても良いのですが、やり過ぎるとリアリティが無くなってしまう。そこは取材でカバーして、エピソードは限りなく本物を入れるという風にしています。



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