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フランスの至宝、イザベル・ユペールが『クレアのカメラ』に掛けた「魔法」とは?

フランスの至宝、イザベル・ユペールが『クレアのカメラ』に掛けた「魔法」とは?

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天下の美魔女、イザベル・ユペールの驚異の魅力



 先述の『アバンチュールはパリで』にしろ『3人のアンヌ』にしろ、フランスというカードが絡むと、どうしてもホン・サンスが多大な影響を受けた偉大なる先達、エリック・ロメール監督のコピーっぽい雰囲気が出てしまうのが、これまでの筆者のかすかな不満点だった。しかし『クレアのカメラ』では、まったく独特の域に到達したことを実感する。あるいはとてつもない進化形だ。




 同時にこの作品の達成は、イザベル・ユペールの魅力なくしては考えられないだろう。知性と品性、さらに色気も兼ね備えたカリスマ性を発揮しながら、小柄で親しみやすくもある。得難いバランスの個性だ。そして天下の美魔女っぷり! 先にも書いたように現在65歳なのだが、今年7月7日に日本公開されたばかりの『 エヴァ』(2018年/監督:ブノワ・ジャコー)では、ギャスパー・ウリエル(33歳)扮するワケありの青年作家を虜にしてしまう高級娼婦に扮した。同じ原作(ハドリー・チェイスの小説『悪女イヴ』)をもとにした往年の名作『 エヴァの匂い』(1962年/監督:ジョセフ・ロージー)では34歳のジャンヌ・モローが演じた役なのだから、どんだけ特別待遇なんだよ!って話である。


 この驚異のユペールに、キム・ミニまで並び立つホン・サンスの至福感が、我々観客にも伝わってくるようだ。ちなみに本作はカンヌで撮影した翌年(2017年)、めでたく第70回カンヌ国際映画祭のアウト・オブ・コンペティションに出品されたことを、最後に付け加えておきたい。



文:森直人(もり・なおと)

映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「TV Bros.」「メンズノンノ」「キネマ旬報」「映画秘宝」「シネマトゥデイ」などで定期的に執筆中。



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作品情報を見る


『クレアのカメラ』

7月14日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次ロードショー

© 2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

公式サイト: http://crest-inter.co.jp/sorekara/crea/


※2018年7月記事掲載時の情報です。

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