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『ラ・メゾン 小説家と娼婦』アニッサ・ボンヌフォン監督×アナ・ジラルド 監督がインティマシー・コーディネーターを兼ねた理由とは【Director’s Interview Vol.380】

『ラ・メゾン 小説家と娼婦』アニッサ・ボンヌフォン監督×アナ・ジラルド 監督がインティマシー・コーディネーターを兼ねた理由とは【Director’s Interview Vol.380】

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監督がインティマシー・コーディネーターを兼ねる理由



Q:セックスシーンがかなり多いにも関わらず、ポルノのようには全く見えません。それはとても不思議だし、素晴らしいことだと感じました。


ボンヌフォン:そう感じていただけたのは、原作からセックスシーンを選択するときに、ストーリーテリングに貢献することを重視して選び抜いているからです。つまりセックスを描きながら、セックス以外のことを語っているんです。


Q:今回はインティマシー・コーディネーターの役割を監督が兼務されたそうですが、そのことは撮影にどのような効果をもたらしましたか?


ボンヌフォン:私にとってセックスシーンは、他のシーンと同様の価値があるもの。監督の演出に関わってくることを他のスタッフに委託することは全く想定していません。セックスシーンでも演出に気まずさなどはなく、「カメラはこう動いて俳優たちはこう動く」としっかり説明した上で、アナと手に手を取ってシーンを作り上げました。そうやって私がインティマシー・コーディネーターの役割も兼ねることによって、私たちの関係性はより近しくなるし、信頼関係が生まれてくる。軽薄にヌードシーンを撮るということでは全くなく、「辛いシーンだな」と思われないように監督として責任を持ってやりました。他の人には任せられない役割でしたね。


ジラルド:監督がインティマシー・コーディネーターを兼任してくれたおかげで、私たちの関係はすごく親密になり、自信を持ってシーンに臨むことが出来ました。「ここはこうするのよ」と身を持って手本を見せてくれたんです。


他の映画でもラブシーンは経験していますが、やりづらいパターンは、監督が一切の指示を与えず「お任せします」となってしまうこと。監督がそのシーンの責任を負ってくれないと、私は見捨てられたような感じがして孤独を感じてしまうんです。



『ラ・メゾン 小説家と娼婦』© RADAR FILMS - REZO PRODUCTIONS - UMEDIA - CARL HIRSCHMANN - STELLA MARIS PICTURES


Q:今回来日されましたが、好きな日本映画などがあれば教えてください。


ボンヌフォン:作品でいうと『醉いどれ天使』(48)が大好きです。日本映画のすごいところは、セリフの無い静寂なシーンに人間の本質が現れること。小津安二郎監督の映画も好きなのですが、彼の映画ではカメラワークを乱用していないんです。例えば小津監督はほとんどが50mmのレンズで撮っていますが、カメラ位置だけを変えていて、動き自体はとてもミニマル。でもそのミニマルさが、登場人物の感情的な部分を表している。そういう映画文法にも、日本人の立ち振る舞いや生き方が表れているのかもしれませんね。


ジラルド:私も黒澤監督や小津監督は大好きで、中でも黒澤監督の『素晴らしき日曜日』(47)が好きです。コーヒーを飲むシーンを見るといつも涙が出てしまいます。また、日本のホラー映画の大ファンなんです(笑)。『リング』(98)や『仄暗い水の底から』(02)など中田秀夫監督の作品が好きですね。


以前、小栗康平監督の『FOUJITA』(15)でオダギリジョーさんと共演しましたが、日本の俳優の演技を目の前で見ることが出来てとても嬉しかったです。小栗監督からは「映画の歴史に残るような印象的な演技をしたいなら、話すスピードを2倍かけてゆっくり話すのが良い」と教えていただきました。それは今でも実践しています。今回の作品でもアニッサ監督から「一つ一つのフレーズを軽々しく流すのではなく、ちゃんと実感を込めて責任をとる覚悟で話してね」と言われました。まさに小栗監督と共通するアドバイスでしたね。




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監督:アニッサ・ボンヌフォン

1984年2月26日、フランス/パリ出身。映画監督のほか、女優としても活動し、『マダムのおかしな晩餐会』(18)、『THE INFORMER 三秒間の死角』(19)などに出演している。監督としての長編1作目となったドキュメンタリー映画『ワンダーボーイ』(19)では、フランスの高級ブランドである「バルマン」の現デザイナーであるオリヴィエ・ルスタンに密着。ファッション業界で活躍する現在を追いつつ、親に捨てられた過去を持つ彼が、自身のルーツや真実を追い求める過程に迫った。主な監督作に『Nadia』(21)がある。





アナ・ジラルド

1988年8月1日、フランス/パリ出身。両親は、俳優のイポリット・ジラルドとイザベル・オテロ。3歳の頃から子役として活動し、主演を務めた本格スクリーンデビュー作『消えたシモン・ヴェルネール』(10)がカンヌ国際映画祭で上映されると、その演技が高く評価され、フランス映画界の新たな才能として注目される。主な出演作は『最後のマイウェイ』(12)、『FOUJITA』(15)、『パーフェクトマン 完全犯罪』(15)、『エスコバル 楽園の掟』(15)、『おかえり、ブルゴーニュへ』(17)、『パリのどこかで、あなたと』(19)、『ファイナル・セット』(20)など。映画のみならず舞台にもその活躍の場を広げ、シェイクスピア原作のフランス語版「ロミオとジュリエット」ではジュリエット役を演じた。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『ラ・メゾン 小説家と娼婦』

新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中

配給:シンカ

© RADAR FILMS - REZO PRODUCTIONS - UMEDIA - CARL HIRSCHMANN - STELLA MARIS PICTURES

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