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芝居重視の直球勝負で人間を描いた。湯浅弘章監督『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』【Director’s Interview Vol.5】

芝居重視の直球勝負で人間を描いた。湯浅弘章監督『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』【Director’s Interview Vol.5】


同年齢の役を演じきる若き女優たち



Q:メインの3人(南沙良、蒔田彩珠、萩原利久)の演技が、とても瑞々しくて素晴らしかったです。


湯浅:今回はキャスティングが全てで、そこで演出の7割が決まると思っていました。芝居のちゃんとできる子をオーディションで選びたいっていうのがあり、結構粘りました。選ばれた子たちは本当にレベルが高かったですね。役とほぼ同年齢の14歳をキャスティングしたのも大きかったです。15歳の役を大人がやってしまうとやっぱり何か違うんですよね。


Q:彼女たちは役とほぼ同年齢だったんですね。


湯浅:そうですね。その生々しさがいい具合に出たと思います。彼女たちも芝居で悩んでいて、そういう姿がそのまま役にはまったのかな。志乃が悩む姿と南沙良が悩む姿がシンクロしてるなっていうのは、現場ですごく感じました。




Q:南さんや蒔田さんは、感情的に自分をさらけ出すシーンもあり、結構難しい演技を要求されたと思います。そういった所はどのように撮影されたのでしょうか。


湯浅:物語のクライマックスにあたる、体育館のシーンの撮影を最終日にしてもらい、彼女たちにそこに全てを持ってくように言っていました。体育館のシーンが全てだよって。もちろんクライマックスの前にも幾つか山場はあるので、そこまではワークショップ的に芝居を付けながら、クライマックスに100%が来るように徐々に高めていきました。感情を表に出す芝居をやってみて。という感じで指導して、基本的には2人に任せていました。


Q:南さんは、泣くシーンでは鼻水まで出してなりふり構わず感情を爆発させるのですが、それに対する蒔田さんも静かながら全く引けを取らない。この2人のコンビネーションが映画を牽引しているなと強く感じました。




湯浅:蒔田さんは、是枝組で常連なんです。


Q:恐ろしく演技がうまいですよね。


湯浅:うまいですよね。


Q:本当に驚きました。


湯浅:蒔田さんの演じる加代は、漫画では強さが全面に出ている子なんですけど、映画のほうは加代の弱い部分も描いていて、その辺のメリハリをすごくうまく演じてくれました。蒔田さんは、絶妙なところを突いてきて想像以上のものを出してくるので、演出冥利に尽きるというか、現場が楽しかったですね。


Q:役は蒔田さんが先に決まったんですよね。


湯浅:そうなんです。蒔田さんと面談する機会があり、会った瞬間にこの子にしようってなりました。蒔田さんは当時14歳だったんで、必然的に志乃役も14歳に見える子じゃないと、もうバランスが取れないんです。オーディションで18歳の子とかも来たんですけど、全然釣り合わず。。志乃役が決まらず難航してる最中に、志乃役のオーディションで蒔田さんに相手役をやってもらい、一番ハマったのが南沙良さんでした。原作の押見さんもオーディションにいらっしゃってて、満場一致で南さんに決まりました。


Q:映画の中でも、最初は全然一緒になれる感じのしない2人が、徐々に一緒になっていくのが、観ていて面白いなと。


湯浅:役のキャラが全然違いますもんね。本人たちも全然キャラが違うんです。全くタイプの違う子たちなので、絶対に仲良くならないだろうなと思ってたんですが、すぐ仲良くなってました。びっくりするくらい仲良かったです。




Q:萩原さん演じる菊地も、なかなか難しいキャラクターだったと思います。


湯浅:難しいですね。この役も芝居がうまくないとできないですね。よくやってくれたなと思います。


Q:菊地はとても「うざい」キャラクターでありつつも、映画自体までは「うざく」させない。そのバランスは難しかったんだろうなと思いました。


湯浅:脚本の足立さんが菊地役を膨らましてくださって、菊地は実はいじめられてたとか、そういう弱い部分を映画では描きました。あの辺はやっぱり、足立さんがうまいですね。『百円の恋』もそうでしたけど、ダメな人間を描くのがうまいですよね。





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