いつもCINEMOREに記事を書いてくれているTVディレクターの稲垣哲也さんが、PFFスペシャル講座に登壇しました。「つくりたい作品をつくって生きていく」という課題とどう向き合うか、同じくディレクターの佐々木健一さんと対談した様子をレポートします!
本当にみたい企画が通ったのは、19年間で2本だけ!
自分のみたい映画を作りたくて映画監督を志す若者は後を絶たない。だが職業として映画監督を目指しても明確な道がない現在、映画監督ではない映像制作の仕事、テレビ番組制作の道に進む人たちも多くいる。果たしてそこでは、自分のみたい番組を作ることは実現できるのだろうか?
NHK BSプレミアムで放送された、芸人・たけしの原点を追うドキュメンタリー番組「たけし誕生~オイラの師匠と浅草~」を参考に、番組を制作した稲垣哲也ディレクターとその企画実現を後押しした佐々木健一ディレクターが、「本当にみたいテレビ番組創作術」について語ってくれた。
稲垣さんはズバリ言う「僕は19年間番組制作の仕事をしていますが、本当に自分がみたかった作品の企画が通ったのは、この『たけし誕生』と他の番組が1本。その2本だけです。」稲垣さんはユーコムという制作プロダクションに所属。普段は民放ゴールデンの情報バラエティのプロデューサーとして番組制作に携わっている。「テレビ業界は間口が広く、食べていくことはできますが、自分のやりたい企画が全て通るわけではありません。」と稲垣さん。
稲垣哲也ディレクター
一方、佐々木さんはNHKエデュケーショナルのディレクター。プロダクションの稲垣さんが出す企画を佐々木さんがNHKに仲介・提案するといった関係性だ。とある忘年会で出会い意気投合した二人は、様々な企画を進めることになっていく。「佐々木さんは僕の企画を面白いと言ってくれたんです。二人で企画の話をするのがとにかく面白かった。自分の企画はマニアックらしく普段はなかなか受け入れられないんですが(笑)、佐々木さんは違ったんです。自分のやりたいことを面白いと言ってくれる人は初めてだったので、佐々木さんとの出会いは衝撃でした。」稲垣さんは言う。
「稲垣さんが最初に出した『たけし誕生』の企画は、完成した番組とほぼ変わっていません。つまりこの番組では本当にやりたかったことをそのまま実現できたのです。」「ただし、この企画が実現に至るまでにはかなりの時間を要し、様々なハードルがありました。」佐々木さんは明かす。
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