主演二人への対照的な演出
Q:主演に決まった桜井ユキさん、そして小松未来さんの演技も素晴らしいです。2人が出演されたきっかけを教えてください。
井樫:もともと桜井さんのことは映画などを観ていて知ってたんです。で、オーディションで初めて会った瞬間に、もう惚れちゃった感じでした。小松さんの方は、彼女が出演した『みつこと宇宙こぶ』という映画を見て、オーディションに来てもらったんです。
Q:それで主演のお二人が決まるわけですが、その二人からどうやってあの素晴らしい演技を引き出したのでしょうか。
井樫:小松さんは14歳なので、技術も経験もまだ追いついてないんです。なので、こういうときはこういう気持ちでと、シーン毎とにかく丁寧に説明しました。泣くシーンでなかなか涙が出なかったりと、色々と大変なこともあったんですが、最後までよく頑張ったと思います。
Q:一方、桜井さんの方はどうでしたか?
井樫:桜井さんは全く演出してないです。もう、好きにやってって感じでした(笑)。役が決まってから撮影まで準備期間が半年くらいあったので、その間に桜井さんと何度か会う機会がありました。そのときにいろんなお話しをしたんです。撮影についてもそうですし、お互いの今までの人生の話とか。どういう芝居をするかといった話は全く無く、今までこういう人生を歩んできて、私はこういう気持ちになったことがあるとか、そういうことを話していったんです。その上で、脚本や言葉のニュアンスなどを、桜井さん自身に寄せて変えていったりもしました。実際に現場に入ってからも、桜井さんのお芝居に違和感を感じることは一度もなかったですね。
Q:リハーサルや読み合わせをやるというよりも、この人はこういう人だっていうのを理解した上で現場に臨んだんですね。
井樫:そうですね。リハーサルはやってないです。
Q:小松さんと桜井さんでは、対照的ですね。
井樫:確かに。対照的かもしれないですね。