撮影現場が一番わーってなってました。
Q:ディレクター(監督)って、ディレクション、指示するっていう意味だったりもします。そういう意味では、監督って、指示・命令する立場にあったりするのですが、井樫監督はその辺はどうですか?
井樫:まあ、かなり命令しちゃうんですけど(笑)。
Q:命令というか、それはこだわりが強いところですかね。
井樫:そうですね。私はこう思ってるけど、あなたはどう思ってますか?って意見が欲しいんですよね。そうじゃないとその人にやってもらっている意味がないというか。そういうところで、スタッフとぶつかることはあります。
Q:自分の意見と周りの意見、現場ではどう折り合いをつけていたのでしょうか。
井樫:自分が悩んだときは周りに聞きましたね。隣にいる人でも誰でも。例えば、この引きの画いるかな、とか。この寄り画いるかな、とか言って。でも、仮に「まぁいらないんじゃない。」って言われたとしても、一回考えてました。一応その人の意見は意見として受け止めつつも、最終的に選択するのは私なので。周りの意見を全部鵜呑みにするかっていうと、そうでもなかったです。いつも頭の中がめまぐるしくパズルみたいになって、結構キャパオーバーでしたね。
Q:それは撮影、編集と常にですか?
井樫:撮影ですかね。撮影現場が一番わーってなってました。
Q:それでもなんだかんだ乗り切って、完成までこぎつけたわけですよね。今回、商業映画として映画化されるまでには、どういった経緯があったんですか。
井樫:何ていうんだろうな、気付いたら大きくなっていった感じでした。最初はすごく軽い気持ちで、ミニマムな感じで撮るつもりだったんですけど。そのうち、主演に桜井ユキさんが決まり、前作の『溶ける』がカンヌに決まったりもして。「あ、これキタわ。」って(笑)。本当にいろんなタイミングが合わさって、勝手に大きくなっちゃった感じですね。
Q:どんどん決まっていったと。
井樫:そうですね。その後は本能のまま走りました。