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感じたことを認められない苦悩とは『あなたはまだ帰ってこない』エマニュエル・フィンケル監督【Director’s Interview Vol.20】

感じたことを認められない苦悩とは『あなたはまだ帰ってこない』エマニュエル・フィンケル監督【Director’s Interview Vol.20】


第二次世界大戦下のフランス



Q:映画の背景には第二次世界大戦という、人類の悲惨で深刻な過ちがあります。非常に重くて繊細なこの時代を映画で取り扱うことに、「覚悟」のようなものはあったのでしょうか。


フィンケル:『ヒロシマ・モナムール(二十四時間の情事)』という、初めてデュラスが脚本を書いた映画があるのですが、そこでは、本来持ちたい感情があるのにそれが持てないという「恥」について描かれています。それは今回の映画にも通じるところがあります。


 実は今回の映画にはドイツ人があまり出てこないんです。当時のフランスは確かにドイツに占領されていたのですが、実際にはフランス自体が内戦に近い状態で国民が割れていたんです。一部のフランス人はドイツ人と協力し、他のフランス人を密告していたりしていました。私がこの作品の中で描きたかった第二次世界大戦とは、まさにこの部分でして、フランスがどうあったかということなんです。デュラスの作品の中でもその辺はとても強調してるんですね。当時のフランスの極右政権がそういう状況を招いていたんです。

 



Q:そういう事実は、日本ではあまり知られてないかもしれません。


フィンケル:日本とフランスでは距離があるので感じられないかもしれませんが、実は今のフランスも、映画で描かれているフランスに何か通じるものがあるんですね。昔の第二次世界大戦の時の悪魔は今でも完全に葬り去られたわけではないんです。国民の中にある「ゆがみ」をこの時代を通して描いたんです。


Q:残念ながら今の日本も近い傾向にあるかもしれません。


フィンケル:そうですね。ニュースや記事を読んで、私もそう感じています。


Q:では最後にこのインタビューを読んでくださっている皆さんにメッセージを。 


フィンケル:この映画を理解しようと思って見るのではなく、ありのままを感じてください。心で見てほしい映画です。


Q:どうもありがとうございました。




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取材・文: CINEMORE編集部 F 

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。



 


監督:エマニュエル・フィンケル

1961年パリ近郊のブローニュ=ビヤンクール生まれ。ベルトラン・タヴェルニエやクシシュトフ・キェシロフスキ、ジャン=リュック・ゴダールらの助監督を経て95年に監督デビュー。長編第一作「VOYAGES」はカンヌ国際映画祭<監督週間>に出品されユース賞を受賞したほか、セザール賞2部門など数多くの映画賞を受賞した。TVドキュメンタリー「EN MARGE DES JOURS」(07)ではビアリッツ国際テレビ映像フェスティバルのゴールデンFIPA賞(脚本賞)を受賞、「NULLE PART TERRE PROMISE」(08)では2度目のジャン・ヴィゴ賞に輝いた。2016年2月にフランスで公開された『正しい人間』(15)には、本作でデュラスを演じたメラニー・ティエリーとニコラ・デュヴォシェルが主演。商業的にも批評的にも成功し、アングレーム・フランス語映画祭の最優秀監督賞と主演男優賞を受賞した。2017年に世界で初めて開催されたオンライン映画祭、第7回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルで上映された。






『あなたはまだ帰ってこない』

2019年2月22日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開

配給:ハーク

(c)2017 LES FILMS DU POISSON – CINEFRANCE – FRANCE 3 CINEMA –

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