シンガポールの名匠が評価した斎藤工の表現力
Q:主人公の真人を演じた斎藤工さんとの仕事は如何でしたか?
クー:斎藤さんとは最初に Skype でお話ししたんですが、非常に豊かな感性をお持ちだと思いました。繊細さというのがこの役には不可欠な要素でしたが、彼は映画監督でもあるし、俳優でもある。そういった二つの視点で役柄を的確に捉えていましたね。
『家族のレシピ』の脚本は最初英語で書かれ、それを日本語に訳して俳優の皆さんに渡しました。でも、翻訳した台本をそのままでは使えません。今回は役者の皆さんに、自分で脚本を解釈しセリフを考えてもらいました。 もちろんリハーサルは何度もしましたが、そのセリフは斎藤さんを始め「出演者たち自身」から発せられたものなんです。 私たちはこの作業の過程で家族のような絆で結ばれました。「どういう風に解釈して、このシーンをやろうか」という風に深く話し合って行く中で信頼関係を持つことができたんです。
斎藤工さんは俳優だけではなく映画監督してとしても非常に才能があることは、彼の短編作品を見ても分かりました。「blank13」(18)という作品も監督していますが、これもとても良かったので、私がアジア各国の才能ある映画監督に依頼したオムニバス・ホラー作「FOLKLORE」(18)の中の一編を、彼に監督してもらいました。 この作品がとても良かったので次回もお願いしたいと思っています。