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『メン・イン・ブラック』の生きたエイリアンたち【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.25】

『メン・イン・ブラック』の生きたエイリアンたち【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.25】

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色褪せないエイリアンたち





 地球で暮らすエイリアンたちは予め住む場所を決められているのだが、許可なくその地域を出れば当然MIBがやってくる。出産間近の妻を連れてまでマンハッタンを離れたレジックは、エージェントKとJに追及されるが、その最中に妻が無事出産する。Jの手の中に飛び出してきた赤ん坊は、頭から何本も触手を生やしたイカ型で、表面の濡れた感じも手伝って生き物らしい。しっかりとベビーシェマ的な特徴(特にぱっちりと大きな眼)を持っているのもおもしろい。MIBのエイリアンたちには生物感がよく出ている。


 もうひとり忘れられないエイリアンは、人間そっくりのロボットを頭の中で操縦している小さなアルキリアンである。悪党エイリアンのエドガーに殺された宝石商ローゼンバーグ氏の頭の中から現れるわけだが、ぱかっと開くローゼンバーグ氏の顔もよく出来ていて、その中にある操縦席の細かさやアルキリアンの表情にも見入ってしまう。今にも死に絶えようとしているので生き生きと動くわけではないが、それでも弱々しい微かな動きがかえって命を感じさせる。焦点の合っていない瞳や緩慢とした動きによってパペットのキャラクターが本当に死ぬように見えるところは、『スター・ウォーズ/エピソード6 ジェダイの帰還』でヨーダが死ぬシーンを思い出す。


 人間の頭の中にしては操縦席が細かいとか、小さなアルキリアンが繊細な動きをするなあなんて思っていたけれど、実は全てのシーンが劇中での実寸というわけではなく、アップ部分の撮影などは人間サイズのアルキリアンが、そのスケールの操縦席の中で動かされていたらしい。そりゃそうか。操縦席の絵を描くにあたって今回初めてまじまじと観察したが、操縦桿だけでなく足元にもたくさんペダルがあるのがおもしろい。一体どういう手順で人間を滑らかに動かしているんだろう……。



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