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『パーティで女の子に話しかけるには』女の子に話しかけるヒマもないほど、パンク・ロックが楽しすぎる!

『パーティで女の子に話しかけるには』女の子に話しかけるヒマもないほど、パンク・ロックが楽しすぎる!

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1977年、初期ロンドン・パンクと共にある中二病全開の青春



 めっちゃキャッチーなオープニング。この映画は、こんな風に始まる。


 主人公の童貞男子エン(アレックス・シャープ)が変な夢から目覚めると、そこは自宅のベッドルーム。壁一面にはライヴステージ中のイギー・ポップの巨大なイラストが描かれている。レコードプレイヤーが置いてある方の壁には、ディー・ディー・ラモーン(ラモーンズのベーシスト)のポスター、エディー・アンド・ザ・ホット・ロッズの『十代の暴走』(1976年)、ザ・ダムドの『地獄に堕ちた野郎ども』(1977年)、セックス・ピストルズの『勝手にしやがれ』(1977年)といった各バンドのデビューアルバムのレコード、ザ・スリッツのピンナップやいろんなフライヤーがびっしり。所狭しと飾られたその部屋のレイアウト全体が、ピストルズ関連のアートワークを手掛けていたジェイミー・リード風のセンスでまとめられている感じだ。


 つまり『パーティで女の子に話しかけるには』は、パンク・ロック・アイテムのおもちゃ箱のような映画だ。監督は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001年)のジョン・キャメロン・ミッチェル。いまや50歳過ぎの彼だが、反抗期のティーンネイジャーが奮い立たせる初期衝動のきらめきを大切にし、中二病マインドを気持ちよく全開にしてくれる。


 物語は1977年、ロンドン南部の特別区クロイドンが舞台。先ほど紹介した冒頭シーンで、主人公エンが針を落とすレコードは、ロンドン・パンクの最初に発売されたシングルとして名高いザ・ダムドの「ニュー・ローズ」だ(ちなみに『ベイビー・ドライバー』(2017年/監督:エドガー・ライト)で主人公ベイビーがiPodのプレイリストに入れていた「ニート・ニート・ニート」は、ダムドのセカンド・シングル)。同時に部屋のテレビでは、エリザベス女王即位25周年の祝典ニュースが伝えられているが、これはピストルズの名曲「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」への目配せとも考えていいだろう。




 ところでロンドン・パンクのオリジンとしてはセックス・ピストルズをイメージする人が多いだろうが、レコード発売という点で先陣を切ったのはダムドの方。それに倣ってか、本作では「ダムド、リスペクト!」の趣が暗黙のうちに前面化している(もっともピストルズの音源は権利料があまりに高値で、使うのが難しいという身も蓋もない事情もあるのだが……)。


 ジョン・キャメロン・ミッチェルは1963年生まれなので、1977年当時はズバリ14歳。米テキサス出身ながら、もし自分が思春期をロンドン郊外で過ごしたら……という過去のシミュレーションがこのへんの描写に絡んでいるかもしれない。いや、リアルに彼が当時の自分を重ねるなら、デヴィッド・ボウイなどのグラム文脈が強くなったかな。


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