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『小さな恋のメロディ』は、なぜ日本を中心に愛され続けてきたのか

© Photofest / Getty Images

『小さな恋のメロディ』は、なぜ日本を中心に愛され続けてきたのか

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子役のままで記憶に留まったキャストたちの友情



 そしてもうひとつ、『小さな恋のメロディ』が永遠の輝きを失わない理由がある。キャストたちの大人になった姿があまり公になることなく、作品を観た人の記憶に映画のままで留まり続けている点だ。


 ダニエル役のマーク・レスターは1977年の『王子と乞食』の後は、ほとんど目立った活躍がなく、20代で俳優を引退。父親のレストランを手伝ったりしながら空手を始め、そこから整体師、鍼灸師の道へ進み、現在は自身の整骨院を営んでいる。マイケル・ジャクソンとの友情は有名で(一時、マイケルに精子提供した報道で話題になった)、マイケルの来日ツアーに同行したりもした。



『小さな恋のメロディ』© Photofest / Getty Images


 トムを演じたとき、すでに17歳だったジャック・ワイルドは、子役のイメージからの脱却に苦しみ、アルコール依存症となり、口腔癌のため53歳で亡くなった。そしてメロディ役のトレイシー・ハイドも70年代にキャリアを中断した後、80年代に俳優に復帰するも、日本のファンが彼女の作品を観る機会はなかった。現在、トレイシーはフランスの片田舎で静かに暮らしている。


 それでも『小さな恋のメロディ』のファンがうれしいのは、彼らの友情がずっと続いていたことだ。マーク・レスターは東京コミコンで来日する際、フランスのトレイシーに直接電話をかけ、同行を打診した(結局、彼女の来日は実現しなかった)。マークは、ジャックの妻とも今でも連絡を取り合っているという。



現在のマーク・レスター氏(2017年撮影) 撮影:斉藤博昭


 このメインキャスト3人以外の子役たちは、撮影が行われた学校の実際の生徒が演じていたが、マークは彼らの何人かと今でも交流を続けているそうだ。1970年の夏、約3ヶ月かけて撮影された『小さな恋のメロディ』が、多くの子役たちにとって一生忘れられない「夏の思い出」となった事実は、この映画をずっと愛して止まないファンの胸をさらに熱くするはずだ。



文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。



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