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アラン・パーカーの「原点」、そして今も残る「原点」のロケ地『小さな恋のメロディ』

アラン・パーカーの「原点」、そして今も残る「原点」のロケ地『小さな恋のメロディ』

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作品は愛され続けたが、監督の名は忘れ去られた



 1971年公開の『小さな恋のメロディ』は日本でも当時、多くの観客の心をつかみ、現在に至るまで新たなファンを増やし続けてきた稀有な一作である。しかし監督の名を正確に覚えている人は少ないだろう。その名は、ワリス・フセイン。日本で公開された彼の監督作は、他に1969年の『愛のふれあい』くらいしかないが、イギリスのTV界では1960年代の「ドクター・フー」などから近年までコンスタントに監督として活躍。とはいえ、日本ではほぼ「無名」と言っていい。


 では、『小さな恋のメロディ』はマーク・レスター、トレイシー・ハイド、ジャック・ワイルドというキャスト、そしてビージーズなどの音楽だけが魅力の作品なのか? いや、そんなことはない。まず注目したいのがプロデューサー。デヴィッド・パットナムだ。後に『ミッドナイト・エクスプレス』、『炎のランナー』、『キリング・フィールド』などアカデミー賞を賑わせる名作を世に送り出したこの名プロデューサーが、キャリアの初期に、ビージーズの7曲の権利を買い、製作に着手したのが『小さな恋のメロディ』である。ビージーズの曲から少年少女のラブストーリーを構想したパットナムは、かつての広告代理店の同僚で、コピーライターだったアラン・パーカーに脚本を依頼する。


 映画の脚本は初めてだったパーカーがまず取り組んだのは、ロンドンの小学校に通い、子供たちに学校での経験や考えなどをインタビューすることだった。その作業は数ヶ月にもおよび、デヴィッド・パットナムによると作品の大部分は、このインタビューがベースになっているという。ちなみにマーク・レスターが演じた主人公のダニエルは、パーカーの少年時代がヒントとなり、ジャック・ワイルドが演じた親友のトムは、パットナムの少年時代を参考にしたそうだ。




 そしてアラン・パーカーは、第2班監督として撮影現場に参加し、学校の休み時間(曲は「スピックス・アンド・スペックス」)や運動会(曲は「ラブ・サムバディ」)のシーンで演出を任された。両シーンとも「学校の日常」という風景で、主人公3人以外の生徒たちが多数出てくるのだが、この2シーンでの彼らの生き生きと輝いた表情は、今作の中でも大きな魅力である。とくに運動会でのユーモアたっぷりの演出(運動が苦手な選手の奮闘や、親や教師たちのキャラを反映した表情など)は絶妙で、そこからダニエルがメロディを思いながら全力疾走し、歌詞の「ラブ・サムバディ=誰かを愛する」とつながっていく演出は、曲との一体感という点で今作の中でも最もドラマチックな効果を上げている。



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