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『小さな恋のメロディ』まるで映画のために書かれたようなビージーズの曲の数々に、時を超えて心震える

(c)Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『小さな恋のメロディ』まるで映画のために書かれたようなビージーズの曲の数々に、時を超えて心震える

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『小さな恋のメロディ』あらすじ

ロンドンの公立学校。11歳のダニエルは、同じ学校に通うバレエをやっている少女メロディと出会ってしまう。メロディに夢中になってしまうダニエル。やがて二人は互いに惹かれあい、ついには結婚を願うまでになっていくが……。


Index


「音楽映画を作る」というプロデューサーの宣言



 映画のストーリーやテーマと一体になっている主題歌や劇中歌がある。その多くは、映画の内容に合わせ、あるいはイメージして曲が「作られる」ケースが多い。有名なのは『タイタニック』(97)の「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」や、『ティファニーで朝食を』(61)の「ムーン・リバー」など。一方で、既成の曲が使われ、それがあたかも映画のために作られたかのように、見事にハマってしまうというパターンも数限りなく存在する。


 1971年公開の『小さな恋のメロディ』における「メロディ・フェア」は、まさに後者の典型的な例だろう。


 『ダウンタウン物語』(76)、『ミッドナイト・エクスプレス』(78)などを製作し、『炎のランナー』(81)でアカデミー賞作品賞を手にしたプロデューサーのデヴィッド・パットナムにとって、『小さな恋のメロディ』は2作目の長編作品だった。前作のミック・ジャガーを主演にした『パフォーマンス/青春の罠』(70)と同様に、パットナムは『小さな恋のメロディ』でも音楽を強烈にフィーチャーすることにこだわった。


 「私は音楽映画を作る。なぜなら、音楽こそ世界の共通語だからだ。音楽によるコミュニケーションによって、愛と平和の世界を作る。そういった意味で『小さな恋のメロディ』は一種のミュージカル映画だ」と、パットナムは宣言したのだ(『小さな恋のメロディ』サウンドトラックのライナーノーツより)。



『小さな恋のメロディ』(c)Copyright 1971 Sagittarius Entertainment, Inc. All Rights Reserved.


 『小さな恋のメロディ』のサウンドトラックには、ビージーズの曲が5曲使われている。「イン・ザ・モーニング」が1965年、「ラヴ・サムバディ」が1967年に発表され、「メロディ・フェア」「若葉のころ」「ギヴ・ユア・ベスト」の3曲は1969年のアルバム「オデッサ」に収められていた。つまり、すべて映画以前の曲であり、しかもすでに名曲として広く認知されていたのである。


 こうしたいくつもの既存曲を映画のテーマに合わせて使用するスタイルは、その3年前、サイモン&ガーファンクルの既存の名曲をちりばめた『卒業』もあったが、同作の場合、「ミセス・ロビンソン」は映画のための書き下ろしであった。



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