2018.09.03
Index
「最も音楽が売れた時代」の象徴――小室哲哉と安室奈美恵
現在アラフォーとなった「日本の1990年代半ばのティーン女子」を描く『SUNNY 強い気持ち・強い愛』において、最大のキーパーソンといえるのがTKこと小室哲哉である。日本でいちばんCDが売れて、カラオケボックスが大流行の時代に、Jポップシーンを席捲したポピュラー音楽の巨人。この映画では小室自身がスコアを手掛けているが、劇中を彩る1990年代を代表するJポップの名曲群も、必然的にTKチューンがメインになる。
その最も象徴的なアーティストが、安室奈美恵。映画の中では序盤、沖縄での「安室奈美恵デビュー25周年LIVE」を伝える朝の番組『めざましテレビ』(フジテレビ系)のニュース映像で安室ちゃんが歌っている。
ご存じのとおり、彼女は今年(2018年)9月16日をもって引退が決定している。昨年はデビュー25周年で40歳を迎えた。かつてコギャルの教祖と言われ、そして今も光り輝きまくっている安室ちゃんは、実は私たちと同じアラフォーのお母さんなんだ――というところに、この映画のヒロイン・奈美の心境が重ね合わされていく。その奈美を演じるのが、大ヒット曲「恋しさと せつなさと 心強さと」(1994年7月21日発売/作詞:作曲:小室哲哉)などでTKファミリーの一員でもあった篠原涼子というのも、実にコンセプチュアルなキャスティング!
さて、今回の映画で安室ちゃんの曲は「SWEET 19 BLUES」(1996年8月21日発売/作詞:作曲:小室哲哉)と「Don’t wanna cry」(1996年3月13日発売/作詞:小室哲哉&前田たかひろ、作曲:小室哲哉)が使われているのだが、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のオリジナルである2011年の韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』の中で、これに相当するのはどの楽曲になるだろうか?