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『SUNNY 強い気持ち・強い愛』オリジナル徹底比較・楽曲篇――1990年代「普通のヒット曲」たちの豊かさを再発見する

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』オリジナル徹底比較・楽曲篇――1990年代「普通のヒット曲」たちの豊かさを再発見する


「ウチらの名曲」はこんなに凄かった!



 このように『SUNNY 強い気持ち・強い愛』というのは、真正のミュージカルではないにせよ、極めてミュージカル的な映画であると言うことができると思う。
しかも使われている楽曲は、誰もが20年前、いつも街やテレビで流れていて日常的に耳にしていた「普通のヒット曲」たちだ。それを今回改めて聴いた時に、「こんなに良かったのか!」と“再発見”の喜びと衝撃に打ち震える人は、今回の映画を観ることでたくさん出てくるんじゃなかろうか。

 まさに筆者がそのひとりである。特に驚嘆したのは、久保田利伸 with NAOMI CAMPBELLの「LA・LA・LA LOVE SONG」(1996年5月13日発売)だ。これがちょうど回想パートに最初に入る時、高校の校門前のスロープのシーンで流れて(回想に入るタイミングは韓国版を踏襲しているが、オリジナルは別に音楽は流れない)、そのままコギャルたちが乱舞するミュージカルシーンになる。このとんでもない祝祭感、そして楽曲の圧倒的な完成度! つい「もう一回聴きたいんだけど」って気持ちになってしまった(笑)。当時は木村拓哉と山口智子主演のテレビドラマ、ロンバケこと『ロングバケーション』(フジテレビ系)の主題歌というイメージが(良くも悪くも)強すぎたのだが、その文脈から外して“ひとつの曲”として差し出された時、あまりにもゴージャスなサウンドプロダクションに完全にまいってしまったのだ。


 この他にもPUFFYの「これが私の生きる道」(1996年10月7日発売/作詞:作曲:奥田民生)や、先ごろ訃報が伝えられた森田童子の「ぼくたちの失敗」(もともとは1976年の曲。それがドラマ『高校教師』の主題歌として、1993年1月25日にシングル発売)などがユニークな使われ方をする。

 思えば、我々一般の趣味嗜好がどんどん細分化されて、世代ごとの断絶もあり、「ヒット曲」が公共のものとして成立しづらくなった――なんて言われて、もう結構久しい。例えば配信チャートで1位の曲が、10代の子にはおなじみでも30歳以上は誰も歌えない、とか。



 しかし『SUNNY 強い気持ち・強い愛』を観れば、少なくとも1990年代にはまだ「ウチらの名曲」がいっぱいあったんだな、と再認識できるだろう。だからこの映画の名曲群はいろんな人たちの共通の記憶をつなぐし、この映画で当時の名曲に初めて出会ってファンになる世代もいるはずだ。『サニー 永遠の仲間たち』が韓国の大衆共通の心情に訴えかけたように、日本の『SUNNY 強い気持ち・強い愛』もどこか「国民映画」の匂いがするのである。




映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「TV Bros.」「メンズノンノ」「キネマ旬報」「映画秘宝」「シネマトゥデイ」などで定期的に執筆中。 








『SUNNY 強い気持ち・強い愛』 
2018年8月31日 全国東宝系にてロードショー 
(C)2018「SUNNY」製作委員会 
公式サイト: http://sunny-movie.jp/ 

※2018年8月記事掲載時の情報です。

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