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『タイタニック』ジェームズ・キャメロンが“世界の王”になった必然と奇跡

『タイタニック』ジェームズ・キャメロンが“世界の王”になった必然と奇跡


 1998年3月23日、第70回アカデミー賞授賞式。そのときジェームズ・キャメロン監督・脚本の『 タイタニック』は、北米で前年12月19日に封切られてから14週連続(※1)で週末興行収入首位を維持しており、世界各国でも特大ヒット中(※2)。14部門ノミネートで大本命だった『タイタニック』は、予想を裏切ることなく作品賞含む11部門で受賞し、『 ベン・ハー』(59)と並ぶ史上最多受賞作となる。監督賞の受賞スピーチで、キャメロンは劇中のジャック(レオナルド・ディカプリオ)の台詞「I'm the king of the world!(俺は世界の王だ!)」を叫んで歓喜を表した。


 『タイタニック』で数々の記録を打ち立てたキャメロンは、まさに「世界の王」の名にふさわしい大成功を手にしたが、これは決して偶然の産物ではない。そこに至るまでの必然と、いくつかの奇跡的な幸運が重なって、この前例のない超大作が完成し、世界中を感動の渦に巻き込んだのだ。



※1…その後、歴代新記録となる15週連続首位を達成。

※2…世界興収はその後18億ドルを超えて歴代1位に。この記録は同監督の2009年公開作『 アバター』によって破られる。なお2012年公開の3D版の分も加えて、『タイタニック』の世界興収は最終的に21億8700万ドルとなった。


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『アビス』水中撮影監督からの試写状



 1912年当時「史上最大の海難事故」と呼ばれた豪華客船タイタニック号沈没事故は、キャメロンがハリウッドのメジャー監督となってからたまたま出会った題材ではない。 『アビス』を取り上げた回で紹介したように、十代のキャメロンはジャック=イヴ・クストーの海洋ドキュメンタリーに夢中になり、スキューバダイビングの教室にも通い始めている。海に憧れていた少年時代、ウォルター・ロード著のノンフィクション『 タイタニック号の最期』とその映画化作品『 SOSタイタニック 忘れえぬ夜』(58)に出会い、文明を象徴する巨船が人間の驕りによって、破滅的な悲劇を迎える物語に強く惹かれたという。


 1985年に海洋考古学者ロバート・バラードが北太平洋の水深約3,650メートルの海底でタイタニック号を発見し、翌年には潜水調査が実施された。そのドキュメンタリーで初めて遠隔操作探査機(ROV)を目にしたキャメロンは、いつか深海潜水艇やROVといった最先端の科学技術を駆使して海底の世界をとらえる映画を撮りたいと考える。そんなアイデアを、高校生時代に書いた短編小説に組み合わせて完成させたのが『 アビス』(89)だった。


 一方、ドキュメンタリーを見た1987年当時のメモには、「シーンの最初と最後に潜水艦を使って撮った現在の沈没船の映像を入れて、ブックエンドのように物語をはさむこと。そこから生存者の思い出をたどるようにして、沈没事故があった夜を再現すること」「当時の習慣により助けられる女たちと子供たち。そこから生まれた数々のドラマチックな別れの瞬間。勇気ある英雄と、卑怯な小心者」(※参考文献1より引用)などと記された。この時点で、『タイタニック』の大まかな設計図ができていたのだ。



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 次の転機は1992年。キャメロンはある日『SOSタイタニック 忘れえぬ夜』のビデオを鑑賞し、実在のキャラクターにフィクションのラブストーリーを混ぜることを思いつく。それからデスク上の手紙の山を整理していると、シンクロニシティ(※3)とでも呼ぶべき出来事が起こる。その中の一通に、タイタニック号の船体を模した黒いポストカードがあったのだ。それは、『アビス』の水中撮影監督アル・ギディングスがタイタニック号の海底探査を収めたドキュメンタリー、『Titanic: Treasure of the Deep』(92)の試写状だった。


※3…ユングが提唱した、「意味のある偶然の一致」を指す概念。


 試写会場でドキュメンタリーを観たキャメロンは、そこに収められたロシアの調査船ケルディッシュ号と深海探査艇ミールに感銘を受け、興奮冷めやらぬままギディングスに「ロシアに一緒に行こう!」と強引に誘う。『タイタニック』のプロジェクトが動き始めた瞬間だった。



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