『F1®/エフワン』あらすじ
かつて“天才”と呼ばれた伝説のF1®レーサー、ソニーが、再びサーキットに戻ってきた。誰よりもレースの過酷さを知る男が現役復帰を果たした先は、どん底の最弱チーム。しかし、常識破りなソニーの振る舞いに、自信家のルーキードライバー・ジョシュアやチームメイトたちは困惑し、度々衝突を繰り返す。バラバラなチーム、そして、最強のライバルたち。敗北が濃厚となる中、ソニーの“常識破りの作戦”が最弱チームを導いていく――!果たして彼らは、その無謀とも言える賭けで逆転できるのか?それぞれの情熱と誇りを胸に、命がけで夢<スピードの頂点>へ挑む!
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現代の西部劇、現代のアウトロー映画
アウトロー(outlaw)。アメリカ映画の歴史において、彼らは古くからフロンティア・スピリットを体現するキャラクターとして描かれてきた。他者に頼らず困難に立ち向かい、自分の力で人生を切り拓いていく。out-lawという字義通り、彼らは“法の外にいる者”。社会のルールや一般的な価値観から逸脱した孤高の存在、己の流儀で生き抜く個人主義のシンボルとして、唯一無二の光を放ちづけてきた。
そんなアウトローが最もスクリーンで躍動する舞台が、西部劇だった。素性の知れない流れ者がふらりと現れ、悪を倒して去っていく。『シェーン』(53)の寡黙なガンマン、『荒野の用心棒』(64)の名無しの男、『ペイルライダー』(85)の牧師…。特定の場所や集団に縛られず、過去を語ったり感情を表に出すこともなく、正義感を内に秘め、虐げられる人々のために戦う。言葉ではなく行動で示す、孤高のヒーロー。
アメリカ独立宣言には、「人間は等しく平等であり、生命・自由・幸福の追求は神から与えられた権利であって、誰もこれを奪うことはできない」という一文がある。自らの信念や倫理観に従って行動し、究極の自由を体現するアウトローは、THEアメリカ、THE独立精神の文化的象徴。だからこそ、彼らは西部劇の主役として観客から拍手喝采を浴びたのである。
その精神は、現在でも脈々と息づいている。デンゼル・ワシントンが凄腕特殊工作員を演じる『イコライザー』シリーズ、トム・クルーズが元米軍の秘密捜査官を演じる『ジャック・リーチャー』シリーズ、ベン・アフレックが表の顔は会計士/裏の顔は殺し屋を演じる『ザ・コンサルタント』シリーズは、「流れ者が事態を解決して去っていく」というラインを完璧に踏襲。サスペンス・アクションという形式で、アウトローたちは今も正義の鉄槌を下し続けている。
映画『F1®/エフワン』© 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
ブラッド・ピットが年配のレーシングドライバーを演じる映画『F1®/エフワン』(25)も、アウトロー映画の流れを汲む作品と言っていいだろう。かつて“天才”と称された伝説のF1®レーサー、ソニー・ヘイズ。大事故によって輝かしい未来を絶たれるものの、長い歳月を経て再び表舞台に返り咲き、並外れたスキルと経験でチームに勝利をもたらす。その姿は、現代版西部劇のガンマンのようだ。
テクニカル・ディレクターのケイト・マッケンナ(ケリー・コンドン)とのロマンスあり、若手ドライバーのジョシュア・ピアス(ダムソン・イドリス)との確執あり、F1®チームAPXGPオーナーのルーベン・セルバンテス(ハビエル・バルデム)との熱い友情あり。そんな映画、絶対面白いに決まってるし、絶対ヒットするに決まってる(断言)!