(c) 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
『暁に祈れ』徹底したカメラワークで観客を地獄の刑務所に叩き込む、言葉を失う凄まじい臨場感
本作を発掘した新興プロ"A24"とは?
このある種新ジャンルとも呼べる傑作は、当然の如く2017年5月に開催されたカンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門で上映され、絶賛を浴びた。しかし、同年2月のベルリン国際映画祭で、最大のマーケットである北米での配給権をいち早く獲得していたのは、新興の独立系プロダクション"A24"だった。真っ白い背景に黒いフォント・ビューで社名が映し出されるシンプルなマークをご記憶の方は多いと思う。同社の業績はマークとは裏腹に実に煌びやかだ。2012年の設立以降、翌年には『スプリング・ブレイカーズ』『ブリングリング』『複製された男』(鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴの出世作)というその年を代表する問題作を製作し、その翌年には『エクス・マキナ』でアカデミー視覚効果賞を受賞。2015年には『ルーム』で同主演女優賞に輝き、さらにその翌年には『ムーンライト』で遂に映画界最高の栄誉であるアカデミー作品賞を手中にしてしまうのだ。
『暁に祈れ』(c) 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
今年の賞レースの先陣を切って発表された、ナショナル・ボード・オブ・レビューのトップ10にも、"A24"が製作しイーサン・ホークが主演した『First Reformed』が選出されてるし、また、同社製作の『ヘレディタリー╱継承』では主演のトニ・コレットがゴッサムアワードの主演女優賞に輝いている。そして、『暁に祈れ』は2018 British Independent Film Awardsでジョー・コールの主演男優、撮影、編集、音響効果、メイクアップの計5部門で候補に挙がり、コールは見事、主演男優賞を受賞。そう、今年もそろそろアワードシーズンの幕開けだ。
文 : 清藤秀人(きよとう ひでと)
アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。
『暁に祈れ』
12/8(土)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開!
(c) 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
公式サイト: http://www.transformer.co.jp/m/APBD/
※2018年12月記事掲載時の情報です。