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『ワンダーウーマン』世界中で驚異の大ヒット!ヒーロー映画の原点『スーパーマン』へのリスペクトとオマージュ
どんなヒーロー映画も“エピソード1”が一番面白い!
彼女の生まれ故郷は、セミッシラ島。現実世界から隔絶されたこの聖なる島に男性は一人もおらず、女性たちはここで高度な文明を築き、自分たちの力だけで自由と平和を守り続けてきた。彼女たちはいつ来襲するか分からない敵の侵略に備え、日々の徹底した鍛錬を欠かさない。そんな環境で育ったがゆえに主人公ダイアナ(ガル・ガドット)もまた俊敏な動きと強靭なパワー、それに最高の英知と気高さ兼ねを備えた最強の戦士へと成長していく。
と、そこに突如、エンジンから火を吹きながら島の沖合へ墜落していく戦闘機の姿が。海に沈みゆく機体からスティーブ・トレバー大尉(クリス・パイン)を救出したことから、ダイアナの運命は急展開を見せる。一命を取り留めたスティーブから初めて聞く外界の話。とりわけ「世界では今、恐るべき戦争が全ての人類を飲み込もうとしている」と聞かされた彼女は、自らの力を駆使して「戦争を終わらせる」ことを決意し、長く育った生まれ故郷に別れを告げる。戦争終結という常識破りのミッションを携えて飛び出したダイアナとスティーブ。正義感に溢れた二人の強固な絆が主軸となり、この映画は単なるヒーロー映画にはとどまらない冒険心と躍動感を伴って、実に興味深い化学変化を巻き起こしていくわけである。
かくも本作は前半部分で、ワンダーウーマンの人格形成に大きな影響をもたらした故郷の環境、文化、社会のあり方、彼女を育てた母親、師匠でもある叔母の存在を入念に描きつつ、「彼女はどこからやってきたのか?」「なぜヒーローになったのか?」「どんな使命感が彼女を突き動かすのか?」といったヒーローものには欠かすことのできない命題への答えを充実させていくのだ。
こうして“内面部分”をしっかりと描きこんでいるからこそ、ダイアナがいよいよワンダーウーマンとして立つ時のダイナミズムも最大限の高まりを見せる。トレードマークとも言えるアイテムを装着するときの興奮。戦場で我先にと敵陣へと突入していく時のパワフルさ。全てが彼女にとっての初めての経験ばかりだ。まだ完璧には程遠い。成功もあれば失敗もある。しかし何よりも情熱に溢れている。こういったヒーローにとっての重要な通過儀礼とも言えるエピソードの数々を破格の熱量にて堪能できる点もまた“エピソード1”が持つ抗いようのない魅力なのである。