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『ワンダーウーマン』世界中で驚異の大ヒット!ヒーロー映画の原点『スーパーマン』へのリスペクトとオマージュ

(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『ワンダーウーマン』世界中で驚異の大ヒット!ヒーロー映画の原点『スーパーマン』へのリスペクトとオマージュ

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本編中に隠された『スーパーマン』のオマージュとは?



 『グーニーズ』でも知られるリチャード・ドナー監督が手がけ、クリストファー・リーヴがタイトルロールを好演した記念すべき『スーパーマン』(78)。2作目以降は品質も評判も散々だったものの、この一作目だけは今見直しても他のヒーロー映画に全く引けを取らない秀作だ。


 今あえてこの映画を引き合いに出すのには理由がある。実は『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンス監督は、幼い頃、「スーパーマン」のコミックスや映画に大いに心を突き動かされたと証言しているのだ。そしてもちろん今回の映画を描く上でも、この元祖ヒーローの存在は様々な点で影響を与えたという。


 そもそもスーパーマンとワンダーウーマンには共通点がある。二人とも一般社会とは全く異なる惑星や世界からやってきたという箇所は極めて顕著。それゆえ彼らが日常に足を踏み入れると自ずと世間とのギャップが生まれ、そういった描写が時にコミカルに響いたり、あるいは社会の常識を違った目線で見つめる社会風刺の余地さえ生じさせていく。


 また、彼らは人類に比べて精神的にも肉体的にも卓越した存在だ。その上、バットマンのような“トラウマ”や“悲劇”などから誕生したヒーローとも根本的に違う。彼らは暗闇の衝動から生まれたのではなく、ある意味、生まれたばかりの赤子のように汚れのない眼差しで正義や善を全うしようとする者たちとも言えるだろう。


 こういったところに敬意を捧げたのか、ジェンキンス監督はあえて’78年版『スーパーマン』のオマージュとも言える場面を劇中に仕掛けている。ワンダーウーマンが初めてロンドンの街を闊歩する場面がそれである。回転ドアでコミカルな立ち回りを披露したり、精悍な素顔を隠すためにメガネをかけたり、さらには細い路地で暴漢に襲われるやいなや瞬時に身を翻してパートナーを守ったり・・・これらは全て『スーパーマン』でクラーク・ケントが慣れないシティライフに戸惑う場面そのままである。あなたがヒーロー映画のファンならば思わずニヤリとしてしまうはずだ。


 おそらくジェンキンス監督は、自分の悲願のプロジェクト『ワンダーウーマン』を立ち上げるにあたって、自分がただひたすらヒーローに憧れていた幼き頃の初期感情へ立ち戻りたいと考えたのだろう。そして複雑なヒーロー映画が次々と産声をあげる中、『スーパーマン』を援用することで、本作を力強い“王道の一作”に仕上げたいと切望したのではないだろうか。


 その試みは功を奏したとみていい。本作は実にストレートで堂々としており卑屈さもなく、気持ち良いほど快活だ。かつてジェンキンスがスーパーマンに心奪われたみたいに、今まさに世界中の多くの観客が、それもこれまでにないほどの女性層が『ワンダーウーマン』に魅せられ劇場に足を運んでいると聞く。


 すでに世界興収は8億ドルを突破。そしてアメリカ公開から遅れること3か月、ついに日本でも手に汗握る大傑作の幕が切って落とされた。あなたはこの由緒正しい新ヒーローをどのように見つめるだろうか。さあ、冒険の始まりである。かつてなくパワフルな主人公に自分を重ね、興奮しっぱなしの141分を心ゆくまで体感してほしい。




文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンⅡ』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。 




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8月25日(金) 全国ロードショー  3D/2D/IMAX

ワーナー・ブラザース映画

(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/


※2017年9月記事掲載時の情報です。

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