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音楽史と個人史を同時に振り返る『あの頃ペニー・レインと』の日本版を探せ!あの有名俳優・タレントが監督した隠れた珠玉作とは?

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音楽史と個人史を同時に振り返る『あの頃ペニー・レインと』の日本版を探せ!あの有名俳優・タレントが監督した隠れた珠玉作とは?

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博多のロック・シーンと、伝説のギタリスト・谷信雄の「あの頃」に迫る



 映画で玉木宏が演じる「タニ」こと谷信雄(映画での役名は「谷信之」)は、陣内が高校時代に結成したザ・ロッカーズに1977年に加入した。それまでチャラい「馬鹿バンド」の域だった彼らは、プロ志向の高い意識を持った谷の加入で大きな飛躍を遂げることになる。特に、演奏技術が未熟で横ノリのグルーヴが出せないから、縦ノリのスピード感で勝負しようというバンドのコンセプトは、谷が提案したものだったという。


 しかし一方で谷は、目の病気で失明の危機を抱えていた。その手術の日程と、プロデビューが掛かったアマチュアバンド・コンテストが重なってしまうくだりが映画のハイライトになる。


 この本番当日を描くシーンは掛け値なしに素晴らしい。ザ・ロッカーズは10分の持ち時間で、なんと4曲も演奏。MCもブレイクも一切なし。「ショック・ゲーム」「恋をしようよ」「ジャッキー」「可愛いアノ娘」をメドレー的に凄まじいBPM(テンポ)で畳みかけた。


 ガチガチの緊張を乗り越え、気合いのチャージは充分。思いっ切りブチかましてやる!という本番の神掛かった昂揚は、このステージを再現した映画からもびんびんに熱く伝わってくる。


 ちなみにこのアマチュアバンド・コンテストは、ヤマハが九州限定で主催していたロック・コンテスト「L-MOTION」(エルモーション)のことだ。ザ・ロッカーズは1979年に最優秀グランプリを受賞。同年の入賞はザ・ルースターズの前身バンドである人間クラブ。その前年のグランプリはザ・モッズ。また1981年のジュニア部門で久留米代表に選ばれたのが、数年後に日本中を席捲するザ・チェッカーズだった。


 映画で主人公の「ジン」を演じる中村俊介(これが映画初主演)は、本物当人が監督として演出しているせいもあり、尺が進むたびに陣内孝則の見事な「完コピ」に近づいていく。特にコンテスト・シーンでのなりきり具合は、マイクスタンドを使った派手なステージ・パフォーマンス(通称「陣内ジャンプ」)も含めて、魂が乗り移ったような「ヤング陣内孝則」ぶりを披露。


 そして『ロッカーズ』を観る限り、陣内を「陽」とすると、谷信雄はザ・ロッカーズの「陰」を担うキャラクターに思える。たとえばプロデビュー前のビートルズでベースを弾いていた「スチュ」ことスチュアート・サトクリフのような(彼のことは1994年のイギリス映画『バック・ビート』で詳しく描かれている)。ローリング・ストーンズでいえばブライアン・ジョーンズか(自叙伝『アメイジング・グレース』によると、当然のごとく陣内はミック・ジャガーに憧れていた)。



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