1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. トゥルー・ロマンス
  4. 『トゥルー・ロマンス』主演の二人を好きにならずにいられない!好き過ぎて結末まで変えてしまった監督トニー・スコット ※注!ネタバレ含みます。
『トゥルー・ロマンス』主演の二人を好きにならずにいられない!好き過ぎて結末まで変えてしまった監督トニー・スコット ※注!ネタバレ含みます。

True Romance (c) 1993 Morgan Creek Productions, Inc. Package Design ©2014 Morgan Creek Productions, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『トゥルー・ロマンス』主演の二人を好きにならずにいられない!好き過ぎて結末まで変えてしまった監督トニー・スコット ※注!ネタバレ含みます。

PAGES


空前のタランティーノ・フィーバーの最中に生まれた傑作(注意!以下、映画の結末に触れています!)



 『トゥルー・ロマンス』は、コミックショップで働くクラレンス(クリスチャン・スレーター)とコールガールのアラバマ(パトリシア・アークエット)が熱烈な恋に落ち、出会った翌日に結婚。思いがけず手に入れた大量のコカインを売りさばこうとハリウッドに向かうが、マフィアと警察に追われるハメになる犯罪ラブストーリーだ。


 『トゥルー・ロマンス』の製作費は1450万ドル。ブロックバスター映画専門だったスコットにとっては低予算とは言えないまでも、中規模の娯楽作という認識だった。一方でこの額が天文学的な数字に思えたのは、脚本を書いた無名の若者クエンティン・タランティーノだっただろう。当初タランティーノは『トゥルー・ロマンス』を自分のデビュー作にしようと執筆。6万ドルほどの低予算で16㎜フィルムで撮影する構想だったのだ。


 結局、タランティーノは『トゥルー・ロマンス』の権利を売り、『レザボア・ドッグス』(1992)で監督デビュー。古今のB級映画や香港ノワールをミックスしたスタイルでセンセーションを巻き起こし、続く第2作『パルプ・フィクション』(1994)ではカンヌ国際映画祭のパルムドールとアカデミー賞脚本賞を獲得。まさにハリウッドに燦然と現れたシンデレラボーイだった。


 『トゥルー・ロマンス』は紆余曲折を経て、ポルノ出身で『マニアック・コップ』などのB級映画を手がけていたウィリアム・ラスティグが監督に決まった。ところが超売れっ子のトニー・スコットが脚本に興味を示し、ラスティグは降ろされる。ジェイミー・バーナード著『タランティーノ・バイ・タランティーノ』によると、スコットが監督するアイデアに飛びついたのはタランティーノで、ラスティグは騙し討ちされたも同然だったという。


 また、トニー・スコットの希望で書き換えたとされているハッピーエンドも、ラスティグの依頼でタランティーノの脚本パートナーだったロジャー・エイヴァリーが書いたものだった。タランティーノはスコットにもクラレンスが死ぬ当初のエンディングを推しており、スコットは新人脚本家の意志を尊重して2バージョンのラストシーンを撮った。最終的にハッピーエンドを採用したことについて、スコットは「クラレンスとアラバマが大好きになって、どうしても殺したくなくなった」とコメントしている。


 『トゥルー・ロマンス』の魅力は、このスコットのコメントに尽きる。観客はこの無鉄砲で後先を考えず、倫理的にもかなり問題がある主人公カップルを大好きになり、応援せずにいられなくなるのだ。『トゥルー・ロマンス』を監督したことは、スコットがそれだけ本気で入れ込むことができるキャラクターとの出会いでもあった。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. トゥルー・ロマンス
  4. 『トゥルー・ロマンス』主演の二人を好きにならずにいられない!好き過ぎて結末まで変えてしまった監督トニー・スコット ※注!ネタバレ含みます。