さまざな女性を体現したキャストたち
Q:キャスティングについてお聞かせください。主人公ローズを演じたジェシー・バックリーはいかがでしたか?
トム:カントリーミュージックは実直で誠実な音楽だと思う。主演のジェシーも同じく、すごく実直で誠実な人だからこそ、今回の映画の中心となる、カントリーミュージックと相性が良かったんだろうね。彼女の歌も演技も、彼女自身の中にあるそういった部分が現れているんだと思うよ。
Q:母親役のジュリー・ウォルターズについてはどうでしたか?
トム:どういった映画であれ彼女と一緒に働けるのはとても光栄な事なんだ。彼女が演じたマリオンは難しい役柄で、映画の冒頭から自分の娘に辛く当たらないといけない。もちろんそこにはちゃんとした理由があるんだけど、観客は初めはそれがわからないし、だからこそマリオンは温かみや人間性も感じられるようにする必要があったんだ。それを考えた時にジュリーがこの役にぴったりだと思ったね。
ジュリーを最初に撮ったのは、ラストのフルーツ市場のシーンだった。モニター越しに見ていたけど、彼女こそ本物の映画スターって感じで、みんな目が釘付けだった。ここは本当にきれいなシーンで、本編では最初のテイクを使っているんだ。本当に彼女はとんでもない女優だよ。
Q:ローズにチャンスを与えるスザンナを演じた、ソフィー・オコネドーについてもお聞かせください。
トム:以前『WAR BOOK』(14)という映画で仕事をした時、とても良かったんだ。彼女はとてもパワフルで、感情的な演技や温かい演技、コメディも出来るし、何でも出来る俳優なんだ。劇中のスザンナはすごく難しい役で、アプローチの仕方を間違えると陳腐な役になってしまうんだけど、ソフィーはグラスゴーに住む中流家庭の女性が持つ背景をしっかり掴んでくれた。温かみとユーモアを兼ね備えて、まるでそんな人が本当にいるかのように感じさせてくれたね。