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『エゴイスト』松永大司監督x鈴木亮平x宮沢氷魚 皆で挑んだワンシーンワンカット【Director’s Interview Vol.280】

『エゴイスト』松永大司監督x鈴木亮平x宮沢氷魚 皆で挑んだワンシーンワンカット【Director’s Interview Vol.280】

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ドキュメンタリーを撮ってきた強み



Q:ドキュメンタリー調の理由の一つでもありますが、二人を捉える池田直矢さんのカメラワークも印象的です。かなり寄りの画が続きますが、実際の撮影現場はいかがでしたか?


鈴木:ずっと近くで撮られていると、いないも同然になってくるんです。多分ドキュメンタリーを撮られている人の感覚に近くて、だんだんカメラを忘れていく感じでした。台本に無いシーンも多く、誰がどう動き出すか分からない。それに合わせて常にカメラも動いていました。


テレビのドキュメンタリーは面白いですが、その世界に入りたいとはあまり思いません。でもこの映画は色や画がすごく綺麗だし、あくまでも計算して撮られているから「この世界に入りたい」という没入感がすごくある。これが完全なドキュメンタリーで二人を追うだけのものだったらこうはならない。まさにフィクションの力だなと思いました。


松永:自分の強みはドキュメンタリーを撮ってきたことだと思います。ドキュメンタリーを撮っているときは「被写体がもうちょっとこっちにいてくれたらな」と思い、フィクションを撮っているときは「もうちょっとドキュメンタリーのようになってくれないかな」と思っていた。そんな思いをこの10年間ずっと行ったり来たりしていて、今回の映画はそこをマッチさせました。でも役者は大変だし、現場も大変。ほとんどテストしないで撮っているので、どこで何を撮るか常に分からない状態。だから時々マイクが写っちゃいましたけど、皆がそこに集中しているから仕方ないですよね。現場の集中力は相当高かったと思います。


鈴木:ものすごくいいチームでしたね。



『エゴイスト』宮沢氷魚(中村龍太役)


Q:ほぼワンシーンワンカットのような状態だったのでしょうか。


宮沢:そうですね。あれはたぶん長回しじゃないと成立しない。「ここの部分だけ欲しいからら、その少し前からもう一度やろう」といって出来るものでもないし、その前のテイクでやったことなんて忘れていることも多い。また一からやらないとそこに辿り着かないんです。


鈴木:前のテイクと同じことやったら、絶対OK出ないしね(笑)。


松永:なぞられるのが嫌なんです。だから大変ですね。毎回リセットして、でも良いところはそのままキープして、ダメなところはもっと良くする。出演者は相当大変だと思います。




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