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『ウォレスとグルミット』チーズとロケットのコントラスト【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.3】

『ウォレスとグルミット』チーズとロケットのコントラスト【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.3】

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シリーズの原点『チーズ・ホリデー』に見る質感のコントラスト


 

 しかし、作品の魅力は粘土的な手作り感やぬくもりだけではない。


 柔らかい粘土的なキャラクターと、木や金属などの硬い質感のものが同居しているからこそ、世界観にちょうどいいリアルさを出しているのだと思う。


 家具やドアなどは木材で出来ているように見えるし、ウォレスの発明品をはじめ機械類は金属、食器類はちゃんと陶器に見える。粘土のキャラクターと本物らしい質感を持った小道具との対比が、映像にコントラストを生んでいるのだ。


 第1作目にしてニック・パークのデビュー作である『 チーズ・ホリデー』からすでにそういった質感は完成しているように見える。


 『チーズ・ホリデー』はウォレスとグルミットが休暇旅行で月に出かけるお話だが、指の跡だらけででこぼこしたキャラクターと、彼らが乗り込む金属的な宇宙ロケットとの対比がとても際立っている。


 月がウォレスの大好物チーズで出来ているから、ロケットで出かけようという展開も素敵で愉快だが、ロケット作りのためウォレスが材木を切り始めるというのも微笑ましい。


 このときもやはり柔らかな造形のキャラクターたちと、材木やノコギリなどの道具との質感のメリハリが映像に奥行きを与えている。


 出来上がったロケットの内部も普段の居間と同じようになっているのもまたかわいい。そこにレトロフューチャーな操縦席が組み込まれている様子がまたいいんだよなあ。





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