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『ウォレスとグルミット』チーズとロケットのコントラスト【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.3】

『ウォレスとグルミット』チーズとロケットのコントラスト【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.3】

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イギリス生まれのクレイアニメ『ウォレスとグルミット』の魅力



 アードマン・スタジオとニック・パーク監督によるストップモーションアニメ、『 ウォレスとグルミット』シリーズが大好きだ。


 おとぼけな発明家ウォレスとその愛犬グルミットが毎回ホームメイドな発明マシーンで冒険を繰り広げる、イギリスを代表するクレイアニメ作品で、かわいらしい粘土細工の雰囲気とは裏腹に映画顔負けの迫力やスリルさを持ったヒットシリーズだ。


 最近だとシリーズに登場するひつじのキャラクターを主人公としたスピンオフシリーズ『 ひつじのショーン』でその世界観に触れたひとも多いだろう。また夏にはニック・パークの最新作『 アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!』の公開も控えている。


 ウェス・アンダーソンの新作『 犬ヶ島』もあるし、なんだかストップモーションアニメが熱くなってきているようでうれしい。


 そして、犬でストップモーションと言えば、やっぱり『ウォレスとグルミット』を思い出すわけである。


 その魅力としてまず思い浮かぶのは、ミニチュアの部屋の中でキャラクターが生活している様子のかわいらしさや、ぬくもり溢れる雰囲気だ。


 柄物の壁紙が貼られた部屋で、お茶を飲んだりトーストを食べたり、新聞を読んだりという「イギリスの居間」の風景がいい。


 それになんと言っても粘土細工の雰囲気。


 最近のストップモーションアニメは、技術が進歩して3Dプリンターによる人形の成形や、デジタルによる映像の補正などでとても綺麗になってきているが、綺麗すぎるあまりにCGアニメと区別がつかない作品は少なくない気がする。


 CGのような滑らかさを手に入れたストップモーションと、本物と変わらない質感を手に入れたCGアニメとで、ちょうど反対方向から掘り進んできたトンネルがぶつかったような具合。それももちろんすごいことなんだけど。


 『ウォレスとグルミット』もやはり作を追うごとに造形が綺麗になっているものの、それでも粘土感は健在で(厳密には人形は粘土製ではなく、プラスティシンと呼ばれるパテ素材)、丸みを帯びたキャラクターやその柔らかな動きはこの作品の特徴となっている。


 人形の表面に残る手の指紋や付着した小さな埃がフレームごとにちらちら現れるところなども、アニメーターの息遣いが伝わってくるようで楽しい。


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